外国人を集めたゴルフツアーが話題を呼んだ北朝鮮だが、今度は「主体(チュチェ)思想学習ツアー」なるものがお目見えした。チュチェ思想は、北朝鮮を代表するイデオロギーで、宗教で言うところの「教義」のようなもの。専門家からは驚きの声があがっている。
チュチェ思想は、金日成主席が創始し、金正日総書記が発展させたとされており、政治、経済、軍の自主独立などをうたっている。韓国に亡命の末に2010年10月に死去したファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記がゴーストライターだったとされている。
2週間コースで26万円
今回の旅行を企画したのは、中国の格安旅行会社「ヤング・パイオニア・ツアーズ」社。同社のウェブサイトによると、10年には6回のツアーを実施し、それ以外にも100人以上の個人旅行者を北朝鮮に送った実績があるという。
ツアーは、チュチェ思想または朝鮮語を学ぶ1週間の日程と、その両方を学ぶ2週間の日程の、合計3つから選ぶことができ、いずれも2月28日に列車で北京を出発。丸1日かけて平壌に到着した後は、チュチェ思想や朝鮮語の授業が行われる。
もっとも、「チュチェ思想塔」、金日成主席の遺体が安置されている「錦繍山(クムスサン)記念宮殿」、板門店といった北朝鮮を代表する観光スポットを回るのにも、多く時間が割かれている。さらに、平壌でナンバーワンだというナイトクラブ「ディプロ」訪問も日程に組み込まれている。
宿泊するホテルは、「3級」(最上級は「特級」)で、全体的に格安志向がうかがえ、価格も1週間コースで1295ユーロ(14万6000円)、2週間コースで2310ユーロ(26万円)と、北朝鮮ツアーとしては割安だ。