新品の家電商品やブランド商品などが「激安」で買えると評判の「ペニーオークション」を巡ってトラブルが多発している。国民生活センターにもオークションの参加者から相談が急増、同センターでは、ギャンブル性の高さを指摘し、注意を呼びかけている。
さらに、「アメーバブログ」を開設するタレントのほしのあきさんや小森純さん、永井大さんらが、自らの体験をブログで語ったことが物議を醸している。
「落札してないのに、なぜ手数料がかかる」
多くのタレントがそろって「ペニーオークション」の体験談をブログに掲載したのは、「宣伝ではないか」という疑いの目を向けられているからだ。
ブログを運営するサイバーエージェントは「弊社は一切関与していません」と否定しているものの、「ブログの内容については、タレントさんに事実関係を確認中です」といい、なぜこのようなことが起こったのか、調べているところだ。
タレントなどによる体験談は2010年秋以降に相次いで掲載されている。その前後から、ペニーオークションへの参加者も増え、国民生活センターに寄せられる相談件数も増えていった。2009年度に19件だった相談件数は、10年4~6月に30件、7~9月69件、10~12月には74件と急増している。
国民生活センターは、「参加者が増えたのは認知度が上がったためですが、ネットでの口コミやカキコミなどが、認知度を上げる役割を果たした可能性はあります」とみている。
具体的な相談事例としては、「入札に没頭し、手数料ばかりかかってしまった」「途中でやめると手数料が無駄になってしまうと思った」「落札したものの、請求が高額になってしまった」といったものだ。破格の安さで出品されているのにつられて、オークションの仕組みを理解せずに参加しているケースが多いようで、「落札していないのに、なぜ手数料がとられるのか」といった相談が増えているという。
落札できなかった人でも手数料は戻らない
ペニーオークションは、サイトの運営者が商品を出品し、1回の入札で75円程度の入札手数料をとって競り落とす仕組み。ただし、落札できなかった人でも手数料は戻らないので、参加者はその分損することになる。
たとえば、3人の参加者が10回ずつ入札して、一人が1万円で商品を落札した場合、サイト運営者には落札価格の1万円と、3人分の入札手数料(750円×3人分)が入ってくる。サイト運営者は入札に参加する人や入札回数が多いほど手数料収入を得られるわけで、国民生活センターには「サクラがいるのではないか」と不審を抱く声も寄せられている。
一方、入札に参加した人がほしい商品を落札できる「確率」は、参加者数が多いほど減る。当然、人気商品ほど落札はむずかしいのだが、ペニーオークションの場合、「1対1」で競っているのか、1人で100人を相手にしているのか、入札の参加人数や入札手数料がどの程度に膨らんでいて、入札がいつ終わるのかも見えづらい。そのために、「自らの意思が働きにくくなっていて、落札しても結果的に市場価格を上回るケースもありうる」そうだ。
国民生活センターは、「落札が運しだいの、ギャンブル性が高い取引」と指摘している。