地上デジタル放送への完全移行まで残り6か月。総務省によると、地デジ化の準備は着々と進められ、地デジ放送対応受信機の世帯普及率は90%を超えている。しかし、その一方で浮上してきたのが「地デジ難民」の存在だ。
ビルの陰や山間部、離島といった、アンテナなどの送信設備が整っていなかったり、不十分だったりして地デジ放送が受信しにくい地域や場所はまだある。総務省の予測では2010年末時点で、アナログ放送が受信できている世帯にもかかわらず、地デジ放送が受信できない「難民」は約28万9000世帯ある。
中継局や共聴施設に補助金
総務省は2011年1月24日、「難視」対策を盛り込んだ「最終行動計画」を発表した。
地デジが受信しにくい「難視」の地域や場所について、総務省は「電波の中継局や共聴施設(共同アンテナ)がなかったり、ケーブルが延長できないなど、電波を受ける地点がみつからない、また弱い地域は少なからずあるが、そういった地域への対応が順次進めており、7月までにはほぼ100%対応できる」(情報流通行政局)と説明、自信をみせる。
たとえば、山間部などの辺地では、集落が共同でアンテナを設置するなど自主的に共聴施設の設置を進めており、10年12月末時点で全国81万世帯のうち69万世帯(85.1%)で対応が済んだ。残りの12万世帯についても、「7月までに対応を進める」という。
電波の中継局や共聴施設の新設に補助金を出すなどで、「難視」地域をつぶしていくが「万一対応が間にあわない場合には、暫定的に衛星放送で対応」して、テレビを見られるようにする。