パチスロ機「サクラ大戦3」が全国のパチンコ店で次々に稼働が停止、撤去される事態になっている。その理由は当たりが多く出過ぎて、パチンコ店が赤字になっているからだという。パチスロの専門家によれば「設置すれば赤字になる機械が出たのは前代未聞。メーカーへの苦情が寄せられているようです」と話している。
「サクラ大戦3」は遊技メーカーのサミーが10年11月25日から注文を受け付け、11年1月10日からパチンコ店で稼働した。「サクラ大戦」はもともとセガの大人気テレビゲームシリーズで、総合プロデューサーは、「AKB48」メンバー秋元才加さんと「お泊まりデート」が報じられた広井王子氏だ。
「無期限の停台とさせて頂いております」
今パチンコ店ではこんな告知が「サクラ大戦3」に張られている。
「ただ今、当グループ諸事情により、無期限の停台とさせて頂いております。お客様には勝手を申し、大変ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます」
「サクラ大戦3は出る!!!」。そうネットで騒がれ始めたのは1月10日に設置されて以降直ぐだった。パチンコ・パチスロの情報交換サイトには、「人気で座れませんでした」といったカキコミが出た。ゲーム「サクラ大戦」ファンが押し寄せているのかと思ったら、当たりが次々に出る「甘い台」だったから。どこの店に設置されているのかを尋ねる人が続出し、稼働してから早くも2日目に「電源が落とされ、遊べなくなった」という報告も出た。やがて
「設定1でも105%あるから早く撤去しないと大変なことになりますよ!!!」
「メーカーは停止で営業できない損失分を店に保障してやれ!!」
などといったカキコミも現れた。
「設定1」というのは6段階ある確率設定で一番当たりが出にくくなっているものだ。これはパチンコ店側が設定できる。「105%」というのは「機械割」と呼ばれるもので、簡単に言うと1万円使った場合、平均で1万500円分のメダルが出る設定を言う。105%という数字が本当かどうかはわからないが、少なくとも100%以上になっているといのがパチスロファンの見解だ。もちろん、当たりには波があるため「サクラ大戦3」で遊んだ全員が勝つわけではないが、店側はこの台に限ってはトータルで赤字になってしまう。
茨城県にあるパチンコ店に話を聞いてみると、
「儲からないという理由で他店は次々に『サクラ大戦3』を撤去したり、電源を切ったりしています。当店としては人気台なので踏ん張って設置していますが、今後どうなるかわかりません」
ということだった。
「5円スロットコーナー」に移設する店も
大手出版社のパチスロ専門誌編集部に話を聞くと、「サクラ大戦3」は業界では大きな問題になっていて、
「設置すれば必ず赤字になる台というのは前代未聞です。おそらくメーカー側の開発ミスでしょう。パチスロ台は1台20万円から40万円でメーカーから買ってこの結果ですから、パチンコ店は怒り心頭だと思いますよ」
と説明する。パチンコ店では台の稼働中止や撤去が進んでいるほか、中にはメダル1枚を5円で貸し出す「5円スロットコーナー」に移設する店も出ているという。通常は1枚20円であり、それを5円で貸すことによって仮に赤字になっても赤字の額を減らせるという方針なのだそうだ。
今回の事態をどう受け止めて今後どのように対処するのかをサミーに問い合わせたところ、同社広報は、
「現在調査中であり、それ以外のことは今は言えません」
ということだった。