ブレーキは前にも後にも必要
ブレーキをつけていない自転車に乗っている人たちが、巷にそんなにあふれているのだろうか。実は、「前ブレーキだけはつけている(残している)」という人が相当数いるそうだ。さすがに、完全ノーブレーキで問題なく公道で乗りこなせる人はそう多くはないようだ。
この「前ブレーキだけ」も、道交法違反(制動装置不良)だ。自転車には、前輪にも後輪にも両方にブレーキがついていなければならない。これは、道交法「63条の9第1項」と道交法施行規則「9条の3」で定められている。
さらに同規則では、乾燥した平坦な舗装路面で時速10キロのとき、3メートル以内で「円滑に」自転車を停止させる性能も求めている。実は、競輪選手なら、ノーブレーキ自転車でも、後退しようと力をかけて時速10キロなら1メートルぐらいで止めることができるそうだが、これはブレーキ装置とはみなされない。まして普通の人では、3メートル以内でノーブレーキ自転車を止めることはなかなか難しいようだ。
ややこしいのは、「前ブレーキだけ」に見える自転車の中にも、後輪に「コースターブレーキ」というハンドルのレバーやワイヤがない、外から素人が見ても分からないブレーキもあることだ。警察官に何度コースターブレーキを説明しても理解してもらえず、違反だとして切符を切られたが、後に警察側が撤回した。そんなことを警察関係者から聞いたことがある、と話す人もいる。