朝日新聞が2011年春にも有料の電子版を創刊することが分かった。日本経済新聞が、日本の新聞業界としては初の有料電子版の創刊に踏み切って約10ヶ月。すでに有料読者数が10万人を突破するなど、当初の予測よりは好調だとされ、朝日もこれに追随する形になる。
ただ、新聞社にとって電子版の充実は、「紙媒体離れ」につながりかねないだけに、販売店対策が電子版成功へのカギになるようだ。
日経の電子版の有料会員は10万人突破
2010年3月23日に創刊された日経の電子版の有料会員は4月下旬に6万人を突破。10月にアイフォーン(iPhone)に対応してから加入のペースが上がったといい、10年12月には、10万人を突破した。
料金プランは、電子版のみを月額4000円で購読するプランと、紙媒体プラス1000円で紙媒体と併読するプラン(朝夕刊セット版地域では月額5383円)の2つ。日経の発表によると、有料会員の6~7割が併読プランを契約しているという。
ここで問題になるのが、電子版の購読をきっかけに、紙媒体の購読をやめてしまうケースだ。紙媒体の部数が減少すると、販売店の経営を圧迫するほか、新聞社の販売収入・広告単価の減少にもつながるからだ。
日本ABC協会の「新聞発行社レポート」によると、09年7月~12月の日経朝刊の平均部数は305万0277部なのに対して、電子版創刊後の期間を含む10年1月~6月は303万2703部。1万7500部(0.6%)ほど減少している。この中には、前出のような「紙媒体から電子版に切り換えた」読者も、ある程度含まれているとみられる。