中国で強まる政府の言論統制  対抗策は即ネットに流すこと

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   中国政府のマスコミに対する「言論統制」はこのところ日増しに強まっている。中央ばかりでなく、地方政府、企業や団体も同じように口を出す。ただ、紙メディアが主な標的で、ブログ、ツィッター、掲示板での言論はほぼ放任状態にある。

   このため紙媒体の編集者は、「緘口令」がしかれる前に、とにかく記事にしてしまう。まずはツィッターで、次はインターネット、それから紙メディアに掲載する、といった順番なのだ。

定年退職したご老人達が新聞、雑誌に目を光らす

   共産党総書記、国務院総理など政府トップが住んでいる中南海の西に、道を隔てて、看版が付いていない4階建の建物がある。車の出入りはほとんどない。ここはマスコミを指導する「中国共産党中央宣伝部」だ。

   中国人民大学のある教授は、

「2010年から、定年退職者をもう一回雇い入れて、スタッフを増やし、世論動向に目を光らせている」

と明かす。2011年は、中国共産党設立から90周年、孫文が革命を起こして建国した中華民国も100周年を迎える。この節目の時期にメディアをいつもより注意深く見ようとしているようだ。

   しかし、定年退職した60歳以上のご老人達は、インターネットはまったく使えない。数日、中には一週間も遅れて郵送されてきた新聞、雑誌を読み、問題の発見に頑張る。

「数十人の規模で、1万社以上もある雑誌、3千を超えた新聞の監視が、ほんとうにできるだろうか。世論の方向をある方針に沿って誘導していくことは、インターネットの時代でまだ有効性を持つだろうか」

と同教授は哂う。

   中央だけでなく、地方に行けば、それぞれの省・市、市の下にある県もまたそれぞれ宣伝部組織を持っている。

   「中央からのお叱り」が来ると、その下の省は徹底的に原因を究明し、報告もする。中央の意図とは別に、とりあえず問い合わせがきたことについて厳しい結論を出す。言論統制の強化は、そこから来ている面もある。

   省など地方政府は、中央のご威光を借りて、できるだけ地方自治体に不利な報道を消したい、という意図がある。重大な事故、公害問題、賃金不払いなどから始まり、流行病、地方役人の腐敗問題まで、「報道を控えろ」という様々な要望が上がってくる。そして、緘口令が乱発されるという構造だ。

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