1986年以降、医療用医薬品として医師が処方している解熱鎮痛剤「ロキソニン錠」が、「ロキソニンS」として第一三共ヘルスケアから近く発売される。町の薬局やドラッグストアで買える解熱鎮痛剤といえば、「バファリン」や「イブ」などの牙城だが、そこに打って出る。
「ロキソニンS」は他のブランドと違って、他の薬との飲み合わせや、使ってはいけない症状のときなど服用時の相談が必要なため、薬剤師のいる薬局などでしか買えない解熱鎮痛剤としては唯一の「第1類医薬品」にあたるが、これまで病院を受診しなければ手に入らなかった薬が、市販薬として薬局などで買えるようになるわけで、自分の症状にあった薬の選択肢が増えるともいえる。
薬局で「相談」して自分で治すための薬
「ロキソニンS」は、医療用として使用が認められている成分の中で、比較的副作用が少なく、かつ安全性の高い成分について市販薬への配合を認める、スイッチOTCといわれる医薬品。解熱消炎鎮痛剤の新しいスイッチOTC成分としては、じつに26年ぶりだそうだ。
これまでは医療用として病院の医師が使用してきた経口薬で、売上シェアで36%、売上錠数シェアで43%(IMSジャパン 出典JPM2009年12月MAT)を占めていて、国内の多くの医師が処方し、20年以上にわたってトップブランドの地位をキープしている。
第一三共ヘルスケアは、「有効性と安全性のバランスが優れているとの評価をいただいています」と話している。
「ロキソニンS」は、薬剤師を通じてしっかりとした情報を提供してもらえるので、体調は悪いが病院にかかるほどでもないときに自分で治すことのできる「セルフ・メディケーション」を促進することにもつながる。
シェア80%のトップ5社に「挑戦」
これまで、頭痛や生理痛の経口薬では「バファリン」や「イブ」「ナロン」「ノーシン」「セデス」といったブランドの認知率が高く、どれも一度は耳にしたことのあるはず。これらは購入時に薬剤師の説明のいらない、第2類医薬品であるため手軽に買える。
2009年の解熱鎮痛剤市場の販売金額は全体で約360億円だったが、このトップ5社で販売シェア約80%を占める、いわば寡占市場だった。
「ロキソニンS」は、頭痛・生理痛の市販薬で初めて「ロキソプロフェンナトリウム水和物」の成分を含んだ解熱鎮痛薬で、痛みの原因物質をすばやく抑えるのが特徴。眠くなる成分を含まず、胃への負担も少ないという。
第一三共ヘルスケアは、「最近のセルフ・メディケーションに対する意識の高まりもあって、販売することになりました」と話す。
医者にかかりたいけれどすぐにはかかれない人や、いつも病院で処方される薬がすぐにほしい人のため、薬剤師の説明を受けることで手に入る第1類医薬品として、「第2類医薬品とは異なる、新たな市場の創出をめざす」としている。