予算案を通すところまでいくかどうか
その典型例が、霞ヶ関埋蔵金だ。毎年結局は出てくるのに、いつも当初は「ない」という報道ばかりだ。予算編成の年末になると、それまでの報道とは一転して出てくる。昨10年末にも鉄道建設関連の埋蔵金が出てきた。これで5年連続累計40兆円以上だ。ところが、新しい年になると、また「ない」と報道される。
いずれにしても、菅の増税、枝野の利上げ、与謝野・藤井の増税+デフレ強化なんて、ノストラダムスの大予言に出てくる地球滅亡の日、惑星直列になってしまう。社会保障費自然増1兆円というが、その程度なら名目経済成長率を1%上げれば確保できる。こんなことも分からない人たちに国を動かされているなんて、滅多にないくらい悲惨なことだが、あまりに悲惨なだけに長くは続かないだろう。
与謝野氏が1年前に書いた「民主党が日本経済を破壊する」は、この本から、今国会の質問が山のように作れる。それほど攻撃材料があるので、おそらく野党は国会が待ち遠しいだろう。特に、自民党には近親憎悪のような感情が渦巻いており、とても与野党で政策協議なんて雰囲気ではない。
民主党内にも不満は多い。内閣改造したばかりなのに、公然と民主党内からの批判が出ている。これまで民主党を攻撃してきた与謝野氏とすぐ仲良くやれといっても無理な話だ。特に、与謝野氏を入閣させたばかりに、マニフェストの変更まで話が出ている。これは多くの民主党議員にとってやっかいな話だ。仮に変更するとして、マニフェストで政権交代したのだからどんな手続きで変更するのか。その場合、世に信を問うのが常識だ。
これらの情勢では、予算案を通すところまでいくかどうか。自然成立の2月末ごろまでに一波乱ありそうな気配だ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。