入院のために「タクシー代わり」に救急車
「救急車が迎えに行くと、本人がきちんと着替えて歩いて出てきたり、『休日で病院が閉まっているから呼んだ』と言われるなど、明らかにタクシー代わりに呼んだと思われる」(四国新聞09年10月27)
という悪質なケースがあったためだ。
北九州市では10年の救急出動件数が5万件に迫る過去最高となった。風邪など入院の必要のない軽い症状で呼ぶ人がなど減らないためで、
「足が痛いので、家まで運んで、と通報した例もあった。消防局は『これでは本当に救急車を必要とする人の元に行けなくなってしまう』」
と嘆いていると、西日本新聞が11年1月14日に書いている。
毎日新聞の地方版では11年1月12日に、三重県津市市内では10年の出動件数の約半数が軽症者だったとし、
「『包丁で指を切った』『歯が痛い』などの通報のほか、救急車が駆けつけると、入院の準備をして自宅前で待機している」
などの利用例を挙げている。
総務省消防庁によれば、悪質な救急車の使用例について、
「不心得者が増えたというよりも、救急車をどう使っていいか分からない人がいるから起こってしまうことなのではないか。また、核家族化が進み、軽症であっても1人の寂しさから重大な怪我や病気と思い込んでしまうこともあるかもしれない」
と分析している。総務省消防庁では「救急車利用者マニュアル」の作成を急ぎ、救急車の利用者に活用してもらいたい、としている。