2012年12月21日に人類が滅亡するという「マヤの予言」。これを題材にした09年のハリウッド映画「2012」も大ヒットし、本当に天変地異が起きるのではないかと、現在も世界中で戦々恐々とする人もいるようだ。日本でもここ1、2年の間に「マヤの予言」に関する単行本やテレビの特集が放送されたが、はっきりした根拠がないまま騒動が続いているというのが実態のようだ。
人類滅亡の予言といえば「ノストラダムスの大予言」があり、1999年7月に「恐怖の大魔王が降ってくる」などと騒ぎになったが何も起きなかった。
世界の終わりを逃れるため避難する人々も
朝日新聞の11年1月9日付に「マヤの予言」に関連する記事が掲載された。世界各地で30件以上もの野生動物の大量死報告がされたことで、米CNNなどが謎解きの番組を度々放送。インターネットのブログでは2012年に人類が滅亡するというマヤの伝説を根拠に「終末が近づいている」という警告や、「政府が何かを隠している」といった陰謀説が飛び交い、これらを大手メディアが取り上げたことで騒動になっている、というものだ。
西日本新聞は10年12月29日付けで、フランス南部の小村ビュガラッシュに世界各地の終末思想信奉者が「2012年の世界の終わりを逃れる聖地」として流入し、住民が困惑している、などと書いている。
古代マヤ人は建築学、天文学に優れ、太陽や月、金星を観測し正確な暦を作った。建築したピラミッドも天体観測との関係が深い。彼らの暦は紀元前3113年以降5125年を一つの周期にしていて、2012年12月21日で終了する。高い文明を持っていた彼らが暦をこの日を最後にしたのはなぜなのかと議論になった。
また、マヤ文明が栄えたメキシコ南東部ではUFO(未確認飛行物体)の目撃情報が多かったり、ピラミッドの中に「宇宙船」にそっくりな壁画があったりするため、古代マヤ人と宇宙人の関係なども取り沙汰され「滅亡」の話は大きくなっていった。
ただし、12年12月21日以降に何が起きるのかという記述はない。このため、大地震や大津波、大洪水などの天変地異や、隕石の落下、新型ウィルス、太陽の異常活動に伴う様々な異変や災害が起きるといううわさが飛び交った。
「マヤの予言」への恐怖が世界中でヒートアップしたのは映画「2012」が公開された09年。米航空宇宙局(NASA)に巨大な隕石が降ってくるのではないか、などといった問い合わせが殺到したため、NASAは09年9月9日、地球滅亡のストーリーはインターネット上のでっち上げであり、今後40億年は滅亡しない、などといった異例の声明を出した。