世界最大のSNS(交流サイト)「フェースブック(FB)」に、公式ページを開設する日本企業が増えてきた。海外のミュージシャンや俳優、団体がファンとの交流に利用する「ファンページ」に登録し、情報発信やユーザーとのやり取りを行う。
日本人登録者が少ないと言われるFBだが、グローバルな事業展開を意識してページを開く国内企業もあるようだ。英語版を併設する会社も少なくない。
日英2か国語でページ運営するANA
FBの会員数は、全世界で5億人。一方で日本人利用者は2~300万人程度と見られる。個人の登録は今ひとつ伸び悩んでいるが、企業の中にはFBを積極活用しようとの動きが出てきた。
全日空(ANA)は2011年1月11日、FBに日本語ファンページを立ち上げた。先行して09年1月に英語ページをスタートしている。同社広報室に聞くと、空港勤務者や機体整備士などの1日の業務を紹介したり、客室乗務員が勧めるお土産情報を提供したりと、試行錯誤しながら内容を固めていきたいと話す。
FBを選んだのは、双方向性に優れているからだ。ウェブサイトはあるが、基本的に情報発信は一方通行となる。FBのファンページなら、ANAが書き込んだ内容を通じてユーザーは会社の「顔」が見える。ユーザーも自分のコメントも書き込め、お互いのやり取りが見える。両者の「関係」が安定していけば、ユーザーは提案や意見を出すこともあるだろう。ANAにとっては「厳しいご意見を頂戴することで、サービス改善につなげられる」(同社広報室)メリットも期待できる。
航空業はマーケットが世界に広がるため、日英両言語のページを運営しているという。他社の例を見ても、海外に事業展開している企業は英語ほか外国語のページをもっているケースが多い。国別のファンサイトを設ける会社もある。ユニクロは各国版で英語を使用しているが、無印良品は中国語やスペイン語など現地語で対応するなど、特色が出ている。これらのページは、ファン登録しているユーザーの顔ぶれも国際的だ。