2度目の内閣改造を終えた菅直人首相は2011年1月14日夕方、首相官邸で記者会見に臨んだ。質問は、「財政再建派」として知られ、「たちあがれ日本」を離党したばかりの与謝野馨氏の経済財政担当相への入閣に集中、菅首相が増税路線を指摘されて色をなす場面があった一方、新内閣をどう命名するかを問われると、言葉につまってしまう一幕もあった。
約40分にわたって行われた会見の冒頭発言で、菅首相は与謝野氏の入閣について 「自民党時代にも『安心社会実現会議』をつくり、社会保障のあり方、財源のあり方について検討してきた中心メンバー。我が党が行った検討会でも、多くのメンバーが『安心社会実現会議』のメンバーとだぶっており、共通性が高い政策を持っている」
と、1月13日の党大会後の答弁と同様の説明を繰り返した。
記者質問に首相ブキギレ
だが、産経新聞の記者が与謝野氏の入閣と藤井裕久元財務相の官房副長官への起用について、
「消費税上げに向けた布陣が敷かれたとも言える」
と指摘すると、菅首相は
「非常に誤解を生む質問だと申し上げざるを得ない」
と色をなし、
「私たちが言っているのは、今の社会保障制度がこのまま維持できるのか、それをしっかり議論しようということ。そのときに、維持していくための財源のあり方(について)、『現在のままで十分なのか』と議論している。それを、何か消費税引き上げのための議論、そういう風に決めつけて、振り替えて質問されるのはフェアではない」
とまくしたてた。
菅内閣に対してよく指摘されることが、「何をやりたいのか分からない」ことだ。今回の会見でも、内閣が実現すべき課題として「最少不幸社会」といった従来のフレーズが繰り返されたものの、会見の一番最後に、
「今回の改造内閣に名前を付けるとしたら?」
と、恒例とも言える質問が飛ぶと、菅首相は
「私としてはですね、これまで申し上げてきた、『有言実行内閣』の、具体的な実(じつ)を示す。ですから有言実行内閣…、を、押し進める。えー、そういう、考えです」
と、しどろもどろになってしまった。