取引時間拡大で海外投資マネー呼び込めるか
今回のナスダックの日本再進出についてはナスダック側が10年夏、大証に打診したのがきっかけという。大証の米田道生社長が10年12月、ナスダックのロバート・グレイフェルド最高経営責任者(CEO)と米国で会談し、2011年2月から本格的な協議を開始することで合意した。年明け4日の大証の大発会で、米田社長は「内外の取引所とも積極的に連携し、存在感のある取引所を目指したい」などと発言。ナスダックとの新市場創設に意欲を見せた。
しかし、ナスダックの名を冠すとみられる新市場のイメージは明確でない。新市場は、①現行の大証1、2部、ジャスダックとは別に、これらに上場する銘柄を幅広く売買できるようにする②大証とナスダックOMXグループが共同で運営会社を作り、東証に上場する銘柄も取引できる「私設取引システム(PTS)」を運営する――などの案が検討されているが、現行のジャスダックとの棲み分けも明確でない。
大証は夜間まで取引ができるよう、新市場の運用時間を拡大し、投資家の利便性を高める方針だが、果たしてナスダックのブランド力や取引時間の拡大などで海外からの投資マネーを呼び込めるか。大証とナスダックOMXグループは今後、具体的な協議を進めることになるが、10年ぶりとなる大証・ナスダック連合のリベンジだけに新機軸が求められるのは言うまでもない。