インターンシップが説明会として行われるケースも
だが、学生たちの評判は芳しくない。ネット掲示板やツイッターを見ると、「就活の期間が短くなって、いろんな企業を知る機会がなくなる」「別に説明会を行う企業が減るわけではないので、日程が詰まり学生の負担がより増えるだけです」と、むしろ逆効果との声がちらほら出ている。
学生の就職問題に詳しいジャーナリストの石渡嶺司氏は、今回の経団連の措置について「これまで『野放し状態』だった就活の早期化、長期化問題で、本格的に議論して改善の動きを見せたことは、一歩前進と言えるでしょう」と話す。とはいえ効果の面を考えると「大勢に影響はありません」と断言した。
石渡氏が注目したのはインターンシップ(職業体験)だ。現在は大学3年の6月ごろから募集、実施されているが、今回の経団連の見直し事項には含まれなかった。「採用選考活動とは一切関係のない活動であるとして整理する方向で引き続き検討」としているが、石渡氏は、「事実上、説明会のような形で行われているケースもある」と指摘。今後も同じ状態が続くようなら、説明会自体を2か月遅らせる意味は薄れる。
就活時期が遅くなることが不都合になる学生もいる。例えばメーカーで技術職を志望する理工系の学生は、時期が遅れると「卒業研究に影響が出る恐れがあります」と石渡氏。かえって学業の妨げになっては元も子もない。
「氷河期を超える」とまで表現される厳しい就職環境で、学生の間では何よりも就職重視との意識に傾いている。レジェンダ・コーポレーションの調査によると、2012年4月入社予定の学生で、「学業より就活を優先」との回答が83.4%にも上った。学業を犠牲にしてもやむを得ないほど追い込まれているとも考えられる。今回の経団連の措置がどこまで功を奏するかは未知数だが、石渡氏は「(倫理憲章には)罰則規定もなく、『抜け駆け』する企業が出ることもあり得ます。採用活動について法律で定めることも見据えつつ、就活のあり方を継続して議論していくべき」と話した。