08年からターゲットを若い世代に定める
アップルとソニーの携帯オーディオの販売台数推移を見ると、2007年12月時点では20%ほど開きがあったのが、09年以降はほぼ一貫して差が縮まっていく。実はソニーは08年から、ターゲットを若い世代へと明確に定めた。「若い人たちにウォークマンを手に取ってもらい、知ってもらう」(ソニー広報センター)ため、価格の設定やカラフルな製品ラインナップなどの面で、長期的なスパンでマーケティングを続けている。
携帯オーディオが、カセットテープからCD、さらにデジタル音楽プレーヤーへと移行する中で、一時は数多くのメーカーが市場に製品を投入し、そこからiPodがトップに駆け上がった。追い越された形のソニーは、「原点回帰」で音質を徹底追求することで「らしさ」を出す一方、かつてのウォークマンの「栄光」を知らない10代以下にこそ潜在ニーズがあることをつかんだとソニー広報センターは説明する。3年にわたる継続的なキャンペーンで、ターゲット層にウォークマンが浸透し、シェア拡大につながったと見られる。
その一方でBCNに聞くと、携帯オーディオの市場自体は頭打ちになるのではないかと予測する。「アイフォーン(iPhone)」のように音楽再生機能を持つスマートフォンが増えているため、携帯オーディオ自体のニーズに影響を与えるとの見方もある。10代以下に訴求し続けるために、ソニーは「語学学習機能」に次ぐ新たなセールスポイントを打ち出していく必要がありそうだ。