「届いたおせち料理の中身が事前の説明と違う」などと苦情が殺到したグルーポンの「おせち」騒動によって、消費者に不信感が募っているクーポン共同購入サイトで、日替わりクーポンの「Piku」を運営するピクメディアが、広告掲載基準や運用ルールとして自らが遵守する「Pikuルール」の公表に踏み切った。
クーポンサイトは、グルーポンが登場した2010年後半から多くの企業が新規参入を果たしていて、ピクメディアによると150程度ある。広告掲載基準や運用ルールを開示することで、消費者に安心して買ってもらえるサイトとして差別化を図る。
厳格審査で掲載企業は10%未満
ピクメディアが公表した「Pikuルール」は、(1)皆様を満足させること(2)ヒアリングを徹底すること(3)明朗、シンプル、誠実であること(4)割引率の根拠を明示すること(5)ユーザーからの意見を共有し、サービスの向上を心がけること――の5原則で構成している。
たとえば「ヒアリングを徹底する」項目では、「自分自身、自分の家族、自分の友人にお勧めできるサービス以外は掲載しないこと」とし、信頼の高さを強調した。また、生鮮食品の場合は、「事前にクライアントからサンプルを提供してもらい、確認すること」、他のクーポンサイトへの掲載実績や予定を必ず確認して、「明らかに十分な余力がないと判断した場合は、どんなに魅力的は商材でも掲載を断わること」とある。
クーポンサイトは乱立ぎみのうえ、価格設定や表記の仕方、提供サービスの内容など、クーポンの掲載ルールが各社まちまちなため、提供する商品・サービスの定価や値引率などがわかりづらくなって、消費者が混乱することがあった。
ピクメディアは、「今回のおせち騒動のようなことは『本家』の米国でも起こっていたことで、リスクは十分予測できたこと」と指摘。公表の理由については、「消費者保護はもちろんだが、業界の風潮を変えたいと思った。今回のおせち騒動はあくまできっかけ」と話す。
同社は従来からクーポンの掲載に厳格なルールを適用してきた。そのため、「これまでも広告掲載は希望企業の10%に満たない」という。
掲載基準、価格を専門部署が審査
また、「ポンパレ」を運営しているリクルートの審査基準は、サイトなどでは公開していないものの、「一部のセミナーなどで説明してきました」と話す。掲載基準と価格ともに、それぞれの専門部署が審査。表現や内容についても、景品表示法や薬事法といった法規制などをチェックする。
たとえば「価格」は、過去の販売実績や今後の販売予定を確認しながら、掲載希望のクライアントから申告や署名をもらっている。その際、価格の根拠が確認できない場合には掲載を断わっているという。
一方、今回の「おせち」騒動を引き起こしたグルーポン・ジャパンは1月5日に発表した「バードカフェ『謹製おせち』についてのお詫びとご報告」のなかで今後の対策についてふれ、クーポン商品の提供会社に対する事前審査の厳格化と、購入者からの専門のお問い合わせ窓口の設置、社内教育のさらなる拡充と業務管理体制の強化をあげている。