菅直人首相夫人の伸子さんが2011年1月12日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見に臨んだ。低下する支持率について、「支持率にマイナスはない」などと菅首相を激励したことを明かした。また、天皇、皇后両陛下と会食した際、天皇陛下が、いわゆる「消えた高齢者」問題を懸念されていたことも披露。首相が天皇陛下と個人的に交わした会話の内容が明かされることは、きわめて異例だ。
「最近のハイテンション」政権担当への強い意欲
伸子さんは、支持率低下が続く菅政権について、「守りの発言」を繰り返した。
シンガポールの記者が
「国会答弁で、菅首相はいじめられているように見える」
とたたみかけると、
「今まですごくいじめていたので、与党になれば当たり前。それをどう受けるか。二人とも攻めが強くて受けが弱いので、これから訓練しないと…」
と応じ、会場の笑いを誘ったものの、低下する支持率については、
「『支持率はマイナスはないんでしょ?』と申しました」
菅首相を激励したことを披露。さらに、
「夫婦とも脳天気とも言えますが、出来得ることをやって玉砕するのはいいが、なんか『支持率が悪い』というある種のいじめのような感じの批判だけされて、『それじゃぁダメだ』とやめるのはありえない。あってほしくない」
と、支持率が政権運営に大きな影響を与えることについて、不条理さを吐露した。
最近の「ハイテンションだ」と指摘されていることについても、
「『もうちょっとやってみよう』と思いを固めたんでしょうか」
首相の政権継続への意欲だと受け止めている様子だ。
「天皇陛下が、『あの消えた高齢者は…』と」
「これは言っていいのかな…」と断りつつも、菅首相が就任直後、天皇、皇后両陛下と交わした会話の内容を口にする一幕もあった。戸籍上では100歳以上になる高齢者が相次いで行方不明だと明らかになった、いわゆる「消えた高齢者」の問題に関連する質問に答えるなかで、伸子さんは
「8月の半ばにですね、天皇・皇后両陛下と4人だけでお食事をするチャンスをいただきました。部屋に入ったとたんに陛下がお尋ねになったのが『あの「消えた高齢者」というのは、いったいどういうことなんでしょう?』ということをお聞きになりましたので…」
と述べた。首相動静によると、両陛下と菅首相夫妻は10年8月17日夕方、2時間半にわたって皇居で会食。天皇陛下は、10年12月20日の記者会見の冒頭で、
「高齢者の所在不明問題は、私自身思いも掛けなかったことで驚きました。私はこれまで人々が無事に高齢に達することを喜ばしいことと思っていましたが、元気に過ごしていると考えられていた高齢者の中に、その生死が分からない状況にある人々がいることが明らかになったことは非常に残念なことでした」
と発言している。