会社更生手続き中の日本航空(JAL)が2010年末、パイロット(機長・副操縦士)約80人を含む約170人の整理解雇に踏み切った。これで、更生計画実現のための人員削減は一段落した形だが、注目されるのが退職者の行方だ。今回のリストラでは約700人のパイロットがJALを離れたが、依然としてJALパイロットに対する国外の評価は高く、受け皿として、格安航空会社(LCC)が存在感を増している。
JALが10年8月31日に東京地裁に提出した更生計画案では、10年度末までに、グループ人員の約3分の1にあたる約1万6000人を削減する計画だ。
JALのクルーの仕事ぶりに対し評価の声
同社では職種別の内訳は公表していないものの、グループ内に約2500人いるパイロットについては、約700人が削減の対象とされたとみられる。この700人は、最後まで希望退職に応じず整理解雇された約80人を含め、10年末までに実際にJALを去った模様だ。
この700人に期待の目を向けているのが、海外の航空会社だ。
例えば、中国紙「網易財経」が10年8月に伝えたところによると、10年夏に日本路線を開設した中国の格安航空会社(LCC)の春秋航空は、JALを退職した客室乗務員(CA)とパイロットを大量に採用する方針を表明。春秋航空の経営陣からはJALのクルーの仕事ぶりに対する評価の声が多くあがっていたといい、JAL退職者の採用で、日本路線のサービス向上につなげたい考えだ。
実際に、JAL退職者が採用に至ったケースもある。韓国メディアによると、チェジュ航空は10年11月にJAL出身のパイロット2人を採用。11年下半期にも、JAL出身のパイロット2~3人を採用することも検討しているという。朝鮮日報によると、通常、韓国の航空会社が外国人パイロットを採用するときは待遇面で優遇するが、今回は、「組織内部で差別問題など反発の恐れがある」として、待遇は韓国人パイロットと同様だという。このことが、韓国の航空業界では話題になっているという。