公募制などの必要性が改めて浮き彫りになった
ドタバタ劇の報道・記者会見があった1月11日は、経営委が開かれる予定日でもあった。醍醐聡・東大名誉教授ら識者が世話人をつとめる「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は、安西氏の会見や同委員会が開かれる前の11日午前、NHK会長選びについて、NHK事務方を通じて経営委員会あての申し入れをしていた。
申し入れ書では、安西氏の名前は挙げていないものの、「交際費」をめぐる報道を指摘しつつ懸念を示し、「言論・報道機関の責任者として高い識見や放送の自主・自立を貫く姿勢を人選判断の柱にすべきだ」などとした。さらに、会長選出の審議過程公開や最終決定前の複数候補による所信表明、その公開も求めている。また、公募制の導入も提言している。
同会の世話人のひとりで、メディア研究者の松田浩さんに話をきいた。松田さんは、新聞記者出身の元・立命館大学教授で、「NHK 問われる公共放送」(岩波新書)などの著書もある。
松田さんによると、選考過程の透明化や公募制の必要性について、同会は10年秋など以前からNHKに申し入れをしているという。今回の新会長選びを巡るドタバタについては、奇しくも公募制などの必要性が改めて浮き彫りになった形だと指摘した。さらに、
「受信料を払う国民の理解を得るためには、密室選考を早急に改める必要があります」
と強調した。
福地会長の任期満了は1月24日と間近に迫っている。ちなみに、NHK会長の標準年間報酬額は約3190万円だ。