優越的地位の濫用にあたる販売なかったか
全国銀行協会のあっせん委員会も前年を上回る件数を受理しており、解約金を銀行が一部負担するといった形で和解が成立した事案もある。奥正之・全銀協会長は10年末の会見で「苦情が増えているのは事実。各銀行が親身になって個別の案件に臨むことが求められる」と指摘した。
全国の銀行の調査に乗り出した金融庁は、各行の報告を受けて内容を精査している段階だ。販売時の説明は徹底していても、中小企業がメーン銀行の勧誘を断りきれなかったケースが多いともいわれ、「優越的地位の濫用にあたる販売がなかったか、精査する」(幹部)。ただ、独自の経営判断に基づいて、デリバティブで利益を上げている企業があるのも事実で、問題事案を慎重に見極める方針だ。
苦情が増え始めた2年ほど前から、無理な勧誘をしないよう徹底した銀行も多く、ある大手行幹部は「今は改善されている」と強調する。銀行業界は、金融庁の調査結果公表を、固唾を飲んで見守ることになりそうだ。