全国の児童養護施設などへ、アニメ「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗る人物からランドセルの寄付が相次いでいる。岐阜や群馬などのほか、沖縄の施設でも同様のことが起きた。伊達直人の正体は不明で、不特定多数による行動との見方も出ており、ネットでは「日本も捨てたものではない」「素晴らしい行動」と称賛する声があがっている。
長崎市の長崎こども・女性・障害者支援センターのもとに2011年1月9日朝、新品のランドセル7個が届けられた。手紙が添えられており「寄贈 長崎の伊達直人」と書かれていた。翌10日にも兵庫県警の警察署にランドセルが4個届いた。送り主はやはり「伊達直人」を名乗っている。
アニメ「タイガーマスク」の影響か
8日夜にも、岐阜市の児童養護施設の玄関に包装箱に入ったランドセルが5個置いてあった。ランドセルは新品で「新一年生のみなさんへ おめでとうございます 伊達直人」と書かれた手紙が入っていたという。
伊達直人とは、梶原一騎さん原作、辻なおきさん作画の漫画「タイガーマスク」の主人公のことだ。1969年から71年にかけ、アニメ化もされた。孤児院で育った伊達が、悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウトされ、無敵のプロレスラー、タイガーマスクとしてリングにあがる。伊達は素性を隠しながらファイトマネーを経営難の孤児院に寄付をするが、虎の穴への上納金を支払うことができなくなってしまい、次々と刺客が送り込まれてくる、といったストーリーだ。
現在全国で多発している伊達直人による寄付は、「タイガーマスク運動」と呼ばれるようになってきている。2010年12月25日のクリスマスの朝、群馬の児童相談所に伊達直人名義でランドセル10個が届けられていたことから始まった。
プラモデルや現金贈られるケースも
年が明け11年1月5日に神奈川県小田原市の児童相談所にも、やはり「伊達直人」からランドセル6個が、7日には沖縄でもランドセル3個が寄付された。ランドセル以外のものも寄付されており、厚木市の児童相談所にはプラモデルなどのおもちゃ、静岡市の児童養護施設には「お年玉」として現金10万円が贈られている。
タイガーマスクの正体は不明だ。当初は特定の個人が行っているものと見られていたが、寄付の方法がケースごとに違うことなどから、不特定多数の人物による行動との見方が強まっている。小田原市のケースでは「タイガーマスク運動が続くとよいですね」という手紙が添えられていたという。
ネットでも大きな注目を集めており、ヤフーニュースのコメントランキングでは、1月10日正午現在、時事通信社のタイガーマスク関連記事が1位。「善意の輪が広がる事は、素晴らしくて心が温かくなりますね」「まだまだ日本も捨てたものではないなと思う」と称賛するものや、「本当に困ってる人たちに手を差し伸べる これが本当の子供手当てじゃないでしょうか どうでしょう、伊達直人さんならぬ菅直人さん」といったコメントが約2500件寄せられている。
「タイガーマスク」の話題は、テレビのワイドショーもにぎわせている。1月10日放送の「おもいっきいりDON!」(日本テレビ系)では、関連ニュースが番組内で伝えられると、出演者らが声をそろえて「かっこいい」と反応していた。司会の中山秀征さんは、「子供の頃、(タイガーマスクの漫画やアニメを)見てましたから。(歳は)いくつぐらいの人なんでしょうね」と関心を示していた。