社内の開発エンジニアの士気高める意図も
もちろん、その後もホンダには、英国で生産し日本に輸入するなどした「シビックタイプR」のように、ハッチバックやセダンベースのスポーティーカーは存在した。HV初のスポーツカーともいえる「CR-Z」もあるが、CR-Zはエコ重視で、加速性能などは本格スポーツカーとは言いにくい。しかし、CR-Zは未来的なスタイリングと環境性能で爆発的な人気を呼んでおり、ホンダとしては、エコとスポーツの両立にユーザーの期待が高いことに手応えを得たようだ。
自動車業界関係者によると、ホンダがポストNSXとなる本格スポーツカーを開発するのは、社内の開発エンジニアの士気を高める意図もあるという。近年のホンダはオデッセイやステップワゴン、フリードなどミニバンが主力商品となり、往年のファンからは「ホンダはミニバン専業メーカーになってしまった」との嘆きも聞こえた。
この思いはホンダ社内の技術者にも強く、環境性能と走行性能を両立させたスポーツカーの開発は、時代を切り開くホンダのDNAを維持するためにも必要不可欠というのだ。
ホンダが環境と走行性能を両立させた本格スポーツカーを開発するとならば、トヨタ自動車も日産自動車も黙ってはいないだろう。トヨタはスバルと次世代の小型スポーツカーを共同開発しているほか、レクサスブランドで限定生産の高性能スポーツカー「LFA」を送り出す。日産は現行の「GT-R」がフラッグシップだが、トヨタも日産もホンダに対抗し、スポーツカーの走行性能はもちろん、環境性能を高めるのは間違いない。