人に弱々しいところを見せなかった
生前の横澤さんを、J-CASTニュース発行人で大学時代からの親交があった蜷川真夫氏は「電話に出るときはいつも、はっきりとした声だったのが印象的。彼はどんな時でも決して、弱々しいところを見せなかった」と振り返る。
誰に対しても腰が低く、抗がん剤治療の苦しい時期でさえ態度はかわらなかったのだという。人への気遣いが自然とでき、決して威張らないところがあった。お笑い芸人をはじめとする多くの人と親しくつきあい、慕われていたのは横澤さんの人柄にもよるのだろう。
最近のテレビ番組に対しては、「タレントに頼りすぎだ」とこぼしてもいた。自身がプロデューサー出身だっただけに、番組を指揮するプロデューサーは「どういう番組を作りたいか」を考えるべきで、人気のタレントをひな壇に並べ、視聴率を取ってしまのはテレビ番組の衰退。こういう番組で、こういう企画だから、このタレントを起用したい――タレントを上手く起用することがプロデューサーの腕の見せどころであり、醍醐味だということを話している。テレビ業界のことを最後まで厳しく、それでいて温かく見つめていた。
連載中のコラム「チャンネルGメン∞」(2010年12月30日)でも2011年のお笑い芸人のこれからを占ってもらったが、その中で横澤さんは「若手・中堅のお笑い芸人にとって、本業の漫才やコントで力を養い、蓄える年」「そろそろたけし、タモリ、さんまらを乗り越える中堅が出てきて欲しい」などと語り、若い才能に対し発破をかけたばかりだった。