ジョブズ氏「アンドロイドは利用者混乱させる」
大前氏と同様の考えは、米国でも見られる。ニューヨークタイムズ(NYT)は2010年10月18日の記事で、アップルがPC競争でMSに敗れた過去を引き合いに出し、「このままいけばアンドロイドは、スマートフォン市場でアイフォーン(のシェア)に1年とたたないうちに追いつくだろう」との専門家の言葉を引用。また、自前主義を貫く「閉鎖的」なアップルがアイフォーンの新型機を市場に出すまでに1年かかる間に、オープンソースのアンドロイドは各メーカーが追加機能をいくつも開発するだろうとしている。
アンドロイドとアイフォーンが「オープン対クローズの戦い」とされることに、ジョブズ氏は反発する。10年10月に行われた決算発表の席でジョブズ氏は、「アンドロイドはオープンでなく断片的」と評した。基本は同じアンドロイドでも、メーカーごとにOSにアレンジを加えることで「別種」となり、アプリケーションの開発者はそれぞれのアンドロイドモデルに対応するアプリをつくらなければならない。
アプリ配信サービスもメーカーや携帯電話事業者が別々に立ち上げるため「利用者を混乱させる」と非難。端末もアプリサービスもバラバラなことを「断片的」と表現したようだ。これに対してアイフォーンは、OSもアプリ配信サービスも1種類だけと「統合的」と強調、ユーザーもアプリ開発者も迷うことはなく、利用しやすいことに自信を示した。
だがNYTは、アップルがアプリ開発業者を厳しくコントロールしていると指摘。アプリ配信サービスが1種類しかないことで、開発者側はアップルに従うしかないとも言える。
ただ、NYTによると、米アナリストの大半は「アップルはPCのときと同じ徹を踏むことはないだろう」と予測する。米ハーバード・ビジネススクールのデビッド・ヨフィー教授は、アイフォーンのシェアは今後縮小して25~30%で落ち着くだろうとしたうえで「それでも十分、高い利益を上げられる」と結論付けている。