北海道日本ハムファイターズのエース、ダルビッシュ有選手が年俸5億円で契約を更改した。プロ野球史上最年少、最速での「大台」到達だ。
近年の球界では、主力級の選手の年俸が「億」を超えることも珍しくなくなった。だが、メジャーリーグだと1億、2億なら「平均以下」のレベル。金額面で本場に追いつくには、まだ時間がかかりそうだ。
「契約の件。反響が凄い」と呟く
2011年1月6日、札幌市の球団事務所で契約を更改したダルビッシュ選手。その後、代理人を伴って記者会見に臨んだ。
年俸額を記者に問われると、代理人に向かって「どうぞ」と促したため、代理人が「え、いいの?」と驚いて確認する。金額を明かすことは予期していなかったようだ。それでもダルビッシュ選手が「いいっす」と笑顔を見せたため、代理人は「年俸5億。本人の希望もあってインセンティブ(出来高払い)なしです」と説明した。
金額は現役選手としては球界一。入団7年での5億円到達はプロ野球史上最も早い。本人は「すごく評価していただいた」と喜びを口にした。2010年シーズンは12勝8敗と、勝敗数だけ見れば前年より落ちている。チームも4位と低迷した。それでも最優秀防御率と最多奪三振の「2冠」に輝いたことが評価されたのか、前年より1億7000万円増となった。「年俸5億」について大きく報じられたことがダルビッシュ選手自身も想定外だったのか、ツイッターで「契約の件。反響が凄い」と呟いている。
ダルビッシュ選手同様、2011年シーズンの契約更改を済ませた選手で、推定年俸1億円以上の選手は12球団すべてで見られる。2000年以降、年俸5億円以上の選手は次々と誕生した。いよいよ日本の野球は、技術面だけでなくサラリー面でもメジャーリーグに迫ってきたとか思わせるが、実際にメジャーを見ると、ダルビッシュ選手の年俸もかすむ巨額契約が当たり前のように出てきた。
イチローでも「トップ10」入りできない
メジャー史上最大の大型契約は、アレックス・ロドリゲス選手(ニューヨーク・ヤンキース)だ。シアトル・マリナーズからフリーエージェントとなった2000年、テキサス・レンジャースと10年・2億5200万ドル(約207億円)という破格の契約を結んだ。年俸にして20億円以上となる。その後ヤンキースに移籍したロドリゲス選手は07年、10年・2億7500万ドル(約225億円)と前回を上回る金額でサインしている。
日本人メジャーリーガーでは、マリナーズのイチロー選手が07年に契約を延長した際の金額が、5年総額推定9000万ドル(約73億8000万円)とされる。ボストン・レッドソックスの松坂大輔投手は、入団時に6年総額の推定5200万ドル(約42億6400万円)で球団と合意した。日本のプロ野球史上最高年俸は、2004、05年に横浜ベイスターズの佐々木主浩投手(当時)が手にした推定6億5000万円。イチロー、松坂両選手ともこの額を上回るが、メジャーの金額レベルはスケールが違うのか、全体ではイチローですらトップ10にも入っていない。
トップ選手に限らず、平均年俸も開きがある。メジャーリーグ選手会によると、2010年シーズンにメジャーの試合に出場した選手912人の平均年俸は301万ドル(約2億4700万円)。これに対して、日本プロ野球選手会が発表した2010年シーズンの年俸調査結果によると、「1軍」でプレーできる「出場選手登録」された288人の平均年俸は6948万円だった。
ダルビッシュ選手は2011年シーズンの契約にあたり、あえて1年とした。メジャー挑戦を見据えて「勝負に出た」ともささやかれる。来季も活躍して晴れてメジャー入団となったときには、本人も驚くほどケタ外れの年俸を手にするかもしれない。