タレントでAV女優の蒼井そらさんの「中国版ツイッター」が大人気だ。中国のミニブログサービス「新浪微博」で、フォロワー数は2か月足らずで82万人に達している
蒼井さんといえば、「本家」のツイッターでも中国からのフォロワーが爆発的に増えて話題となった。なぜ中国でここまで人気を集めているのか。
開設24時間以内のフォロワー数新記録
「新浪微博」は、中国のポータルサイト「新浪網」が運営するミニブログサービス。蒼井さんは2010年11月11日にアカウントを開設した。新浪網によれば、開設24時間以内のフォロワー数で同サイトの新記録を打ち立てたという。蒼井さんが中国語で書いた最初の挨拶には「そらちゃん愛してる~」「好きだー」など4万件以上のコメントが寄せられ、中国のファンの多さを見せつけた。
中国では、ツイッターなど海外SNSへのアクセスが規制されている。だが蒼井さんがツイッターを開始して間もない2010年4月、中国からのフォロワーが続出。蒼井さんのIDを知った大勢のファンが、「裏技」を使って規制の網をくぐり抜けてきたほどの人気なのだ。
蒼井さんに中国のネットユーザーが殺到した理由のひとつは、「名前がよく知られている」点にあるようだ。蒼井さんは2002年にAVデビュー。日本では現在、バラエティー番組やドラマ出演などタレント活動も多く、セクシータレント界の「大御所」的な存在となっている。出演した作品の数も多い。中国のネット事情に詳しいノンフィクションライターの安田峰俊氏によると、ファイル交換ソフトなどを使ってタレントの出演作を検索し、ダウンロードして閲覧することの多いといわれる中国の事情を考えると、顔よりも名が通っていることが大事だというのだ。
だがファンの心をつかんだ一番の要因は、蒼井さんが「中国語」で語りかけ、双方向のコミュニケーションに積極的な姿勢を見せたことではないかと安田氏は考える。
有名人が現地語で対話するのは画期的
蒼井さんは中国語に堪能だったわけではない。日本語でツイッターやブログを書いていたが、中国をはじめとする海外の読者が多いことを知ると、英語や、翻訳ソフトを使って書いた中国語を使用して「謝謝。在中国我的珠迷。Thank you for my fans in China」と海外のファンへのメッセージを送った。ブログには、日本語の投稿内容を英語や中国語に翻訳する機能まで用意されている。
新浪微博での発言を見ても、年末に仕事を終え「Finished working this year.我完成了今年的工作」と書いたり、ファンからの応援に「謝謝」とこたえたりと、中国語を頻繁に使って交流する姿勢をアピール。11年元旦のブログでも、今年の目標の1つに「中国語をマスターすること」を掲げた。
安田氏は、
「日本の有名人がインターネットを通じて直接中国のファンに語りかけた例はありません。蒼井さんが知名度の高いAV女優だから人気が爆発した、というだけではなく、有名人が『現地の言葉』でユーザーと対話を図ることが画期的で、その点を中国のファンが支持したのではないでしょうか」
と語る。