近く強制起訴される民主党の小沢一郎・元代表の「出処進退」をめぐり、民主党内が緊迫している。菅直人首相は、議員辞職すら迫る勢いをみせており、小沢氏が支持議員らをつれて離党に踏み切るかどうかに改めて注目が集まっている。小沢ガールズといわれる議員らに「踏み絵」が突きつけられる日は近いのだろうか。
「内部で抗争している場合ではない」「友愛精神が求められている」――小沢氏とダブル辞任した鳩山由紀夫・前首相は2011年1月5日、菅首相発言に不快感を示した。菅首相が4日の年頭会見で小沢氏について「起訴されれば出処進退を明らかに」と述べ、事実上の辞職勧告をしたことに反発したものだ。
欠席した議員、それぞれの理由
小沢氏の「政治とカネ」問題をめぐる「内部抗争」は、2010年から越年した問題だ。11年1月1日には、菅首相も小沢氏もともに新年会を開いたため、民主党議員らにとって「踏み絵」のようなものだと注目を集めた。
菅首相の公邸には民主党国会議員約45人、小沢氏邸には同約120人が参加した。毎日新聞によると、小沢氏邸への参加議員は、10年より47人減ったという。小沢邸新年会について、「50人も減った」とみるのか、「120人も参加した」と評価するのか、見方は分かれる中、週刊文春最新号(1月13日号)は、「『小沢決起新年会』 120分ナマ中継!」と題した記事を掲載した。
同記事にはさらに4つの小見出しが添えられており、うちひとつは「福田衣里子、田中美絵子、青木愛 消えたガールズ」だった。小沢ガールズの出欠に焦点をあてたものだ。
文春記事によると、太田和美、三宅雪子両衆院議員や谷亮子参院議員らが出席した。ほかの小沢ガールズとしては、毎日新聞などによると、岡本英子、江端貴子両衆院議員らも参加したようだ。
「欠席ガールズ」に関する文春記事は、10年の新年会の時には「秘書のように甲斐甲斐しく働いていた」青木衆院議員については、「小沢氏の元政策秘書との不倫騒動のせいか姿を現さず」と指摘した。田中、福田両衆院議員は「地元日程を優先との理由で欠席」としている。
青木、田中、福田3議員の事務所に確認してみた。田中、福田両氏事務所は、小沢邸での今回11年の新年会へは、地元の活動を優先し出席していないし、10年の新年会についても同じ理由で出ていなかったという。別に「消えた」わけではなさそうだ。11年1月1日は、「県内各議員の新年互礼会に相次ぎ出ていた」(田中氏現地事務所)、「昨年末から地元におり、1日は大雪で活動できなかった」(福田氏事務所)という。青木氏の現地事務所は「担当者が多忙でつかまらなかった」として回答がなかった。
出席した議員の「執行部批判」
どうも新年会の出欠だけでは、小沢氏への「忠誠度」はわからないようだ。欠席3議員の中の田中氏については、週刊新潮(10年12月30日・11年1月6日合併号)で、小沢氏離党についていく「子分34人リスト」のメンバーとして紹介している。
そもそも、強制起訴後に小沢氏は、本当に支持議員をひきつれ離党し新党結成に踏み切るのか。自身1人で離党し、支持議員は「民主党内野党」として残すという説もあるし、離党はしない、できないとの見方も根強い。
週刊ポスト最新号(1月14・21日合併号)は、政治記者64人にアンケートした結果を載せている。小沢氏が離党・新党結成へ踏み切るかどうかについての質問では、「踏み切る」、「踏み切らない」、それぞれ8、9人の記者の見立てを紹介しており、中でも「踏み切る」派では、同調離党議員数について、「せいぜい10人」から「60~100人」との予想が並んでいる。
小沢邸新年会出席組の三宅氏は、1月2日のブログで同新年会について報告した。さらに、国会議員たちが地元で意見をきけば、「国民の民主離れが小沢さんの問題ではないことがわかるはず。その認識が党幹部の方にないことが現在の問題」と党執行部を批判した。三宅氏はともかく、旗幟を鮮明にしていない小沢ガールズらに離党という踏み絵がつきつけられる事態は来るのだろうか。1月13日には、民主党の党大会がある。