新薬開発の技術取り込まないと生き残れない
このため、第一三共や米ファイザーなど大手製薬メーカーはジェネリック医薬品に参入しており、開発競争が激化。このためジェネリック医薬品の専業メーカーである沢井も、新薬開発の技術を取り込み、ウイングを広げないと業界で生き残れないというわけだ。
沢井がキョーリンに行った提案は、持ち株会社「キョーリン・沢井製薬ホールディングス(仮称)」を新設し、傘下に沢井、杏林製薬と関連子会社を置くというものだ。2014年3月期の売上高を現状の両社合算よりも約12%増の約2320億円、営業利益を約21%増の約410億円と見込むなど、「ジェネリックと新薬の融合」(沢井光郎社長)による両社の統合効果は高いと主張している。
沢井は既にキョーリン株を買い進め、同社の発行済株式の約4.8%を取得。創業家などに続く第4位の株主に浮上している。しかし、キョーリン株は約4割を創業家一族が保有しており、TOBなどには応じない姿勢を示している。
このため市場関係者の間では、残る株主から沢井が過半を取得するのは困難との見方も出ている。沢井は2011年2月末までに両社が合意できない場合、「今回の提案は失効する」としているが、その後の展開は予断を許さない。