「いずれユニヘアーも手放すのではないか」
スティールがそこまで関与していたサッポロHDなどに見切りをつけて売却し、残るは筆頭株主として経営に関与するユニヘアー(旧アデランス)のみとなったことは、市場で「完全な手じまい」に向けて動き出したものと見られており、「いずれユニヘアーも手放すのではないか」(国内証券幹部)との推測も出始めた。
背景には、「『小粒ながら割安で成長が見込める日本企業』の魅力が薄れた」(外資系証券アナリスト)ことがあると見られている。確かにスティールが投資してきたのは、大手でも自動車、電機などに比べ相対的に時価総額が少ない食品企業が中心。しかし、世界各地で地元有力企業が多数競い合う食品企業はドメスティックな企業でもある。
1950年代から海外展開を進めて海外売上高比率が4割を超えるキッコーマンは例外だが、2000年代に入って海外企業を買収し続けるキリンホールディングスで海外売上高比率は25%程度。アサヒビールやサッポロHDでも5~6%程度にとどまる。となれば、縮小する一方の日本市場のプレーヤーに見切りをつけても不思議ではない。日本企業がスティール撤退を、もろ手を挙げて喜べる状況でもなさそうだ。