「民間事業者や住民だけの対応では限界がある」
このほか、コープさっぽろ(札幌市)をはじめ多くの生協や、有機野菜宅配の「らでぃっしゅぼーや」(東京)などは、近くにスーパーがない地域向けにトラックなどの移動店舗が回る。北海道に約1000店の店舗網を持つセイコーマートは奥尻島などの離島にコンビニを出店している。
大手スーパーなどは電話やインターネットで注文を受けた生鮮食品などの宅配も展開している。ただ、高齢者はネットを利用できない人も多く、経産省研究会の報告書も、「民間事業者や住民だけの対応では限界がある」として、自治体が補助金を出すなど官民連携の必要性を強調している。
経産省は2010年12月に、新たな出店、家までの商品配送、買い物バス運行など全国20の先進事例とその工夫のポイントを7つにまとめた「買い物弱者応援マニュアル」(第1版)を公表した。
ただ、こうした事例は一部にとどまる。経済産業省は11月、「買い物難民」対策に取り組む事業者に車両購入費など初期費用の3分2を補助するなどの制度を創設。2010年度補正予算に盛り込んだ施策で、2010年12月15日まで事業計画を募集した。ただし、補助額は下限100万円、上限1億円で、予算は約3億円とわずかで、モデル事業の域を出ず、また2011年度予算案には類似の施策は盛り込まれなかった。景気低迷で国・自治体の財政が厳しい現状で、「買い物難民」対策のハードルは高い。