朝鮮半島が大きなイベント・リスク
いずれにせよ、これからの世界経済の成長を担うのは中国をはじめとする新興国しかないだろう。新興国はインフレ懸念や政治的な不安定さを抱えてはいるが、全体的には今後も成長し、世界経済を引っ張っていくことが期待される。それに対して、彼らが望む商品・サービスを低コストで生産することができるかどうかが日本企業成功のカギとなる。
地政学的リスクとしては言うまでもなく北朝鮮問題が重要だ。金正日の後継問題がくすぶる中で、緊張が増していっている。隣国であるわが国の株価にとって、朝鮮半島が大きなイベント・リスク(突発事象により株価が下落するリスク)であることは間違いない。
もう一つ注目すべきは再来年の2012年である。2012年は米国、中国、インド、ロシア、台湾等で新しいリーダーが選ばれる。2011年の株価には、これらの政治問題の進捗状況が反映してくると考えられる。
わが国でも政局の動きがとりざたされている。しかし、仮に菅政権が退陣するような事態になったとしても株式市場に与える影響は限られると思う。日本の株式相場は、良い意味でも悪い意味でも政権とは無関係に動いていくであろう。
このところ長期金利が上昇しはじめているが、これも株価の先高観を後押ししている。2011年こそは明るい話を聞きたいものだ。
枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして活躍。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。