2010年の日経平均株価は、年間を通じて1万円をはさんで上下するという精彩を欠いた状況が続いてきた。では2011年はどうなるだろう。
このところ株式市場をとりまく環境は比較的良好である。エコカー補助金が終わったのに意外に景気が落ち込まず、株価も1万円を維持している。そのため「この分だと来年はさらに良くなるのではないか」という楽観論が広がっている。
私も来年については強気にみている。日経平均は1万3000円から4000円くらいまで上昇する可能性があると思う。その主な要因は企業業績の動向と海外の動向にある。
海外進出「企業収益」にプラス
最近の日本企業の最大の注目点は、製造業がどんどん海外に進出していることだ。現在のように円高が定着すると、経営者としても海外に活路を見出すしかない。これは雇用にはマイナスの効果をもつが、企業収益(株価)にとっては明らかにプラス材料だ。こういう戦略の転換は株価に着実に影響する。
一方、日本企業はバブル崩壊後、乾いた雑巾をしぼるような厳しいコスト削減を継続的に行ってきた。そのため売上げが多少でも向上すれば、利益が大きく押し上がる構造となっている。これもプラス要因だ。
海外に目を転じてみよう。数か月から1年程度の日本株の方向性に最も大きな影響を与えるのは海外の情勢である。米国政府は景気浮揚を狙ってQE(金融緩和、つまり札を刷ること)と減税を進めている。しかし、欧州ではドイツ主導の好景気に対応してむしろ引き締め方向に舵を取っている。
他方、中国をはじめとする新興国では通貨と物価の上昇によりブレーキを踏みはじめたところ。この「三者三様の対応」(英Economist誌)が将来の方向性を読みにくくしている。