中国人男性と結婚したがる日本女性が増えている――こんなインターネットニュースがしばしば目につくようになった。経済発展を続ける中国と低迷を続ける日本という構図を背景に、「中国の経済力」を意識した日本女性たちが、日本の「草食系男子」にあいそをつかして行動を起こし始めたのだろうか。
「中日カップル、年間1万以上が結婚 モテる中国人男性」(2010年10月28日)、「日本人女性、中国人男性との結婚願望盛り上がる」(12月21日)――中国の人民日報ネット「中国網」の日本語版で配信されたニュースの見出しだ。「中国人男性は日本人女性に人気があり、引っぱりダコである」とも伝えている。
夫が中国人で妻が日本人のケースはわずか986件
同サイト記事を引用する形で、ほかのニュースサイトも同様の流れの記事を何本も配信しており、一部はネット掲示板2ちゃんねるでも話題となった。「本当なのか」「結局(女性は)カネ目当てか」など反発の声が多く並んでいる。個人ブログなどの中には、中国人男性との結婚に関する日本人女性の悩み相談も散見される。
人民網記事は、中国人男性と結婚した日本人女性の話を紹介する形で結婚の理由を分析している。経済力の話はほとんど出ず、中国人男性が「君子、立派な紳士」であるために「モテモテ」だと結論付けている。正面からは論じられていないものの、名目GDP(国内総生産)の日中逆転が報じられる中、中国側の「自信」がにじんでくる記事構成となっている。
統計上はどうなっているのか。中国網記事の見出しにもある通り、日中カップルが年間1万組以上誕生しているのは事実だ。厚生労働省の人口動態調査によると、09年に日本人と中国人が結婚した件数は、約1万3700件だ。うち、夫が中国人で妻が日本人のケースは986件。残り1万2700件以上は夫が日本人、妻が中国人の組み合わせとなっている。
では、中国人男性と結婚した日本人女性の986人という数字は多いのだろうか。外国人男性と日本人女性が結婚した09年の総数は7646件だ。日本人女性の「お相手」で1番多いのは、「韓国・北朝鮮」籍の男性で1879人、2位は米国籍男性で1453人だ。中国籍男性の986人は3位で、約13%にあたる。
過去の数字と比べた増減の方はどうなっているのか。「夫・中国人、妻・日本人」の結婚は、10年前の00年は878件で、04年には1100件を超え、05年から08年までは1000件台で推移し、09年は986人となった。
09年の数字は10年秋に発表されたばかりの最新の数字で10年の数字はまだ分からない。10年に入って急激に伸びている可能性はある。