民主党の小沢一郎・元代表が国会招致に応じることになった。菅直人首相らの強気の包囲網に屈したとの見方もあれば、これで矛先は問責決議を受けたままになっている仙谷由人官房長官に向かい、攻守が逆転するとの指摘もある。もっとも、そもそも内閣支持率アップに向けた茶番劇だとシラけムードも漂う。
民主党は2010年12月27日の役員会で、小沢氏の政治倫理審査会への招致議決をする方針を決め、菅首相は小沢氏の出処進退に触れる一方、内閣改造も示唆した。その前夜、「民主党」が意外なところで「拍手喝采」を受けていた。
小沢氏、政倫審出席を表明
テレビ朝日系で生放送された漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」で準優勝したスリムクラブのネタの中でのことだ。ボケ役の葬儀にまつわるボケにあきれたツッコミ役が「なんとかならんかね~」とボケ役を非難すると、ボケ役は「民主党(のこと)ですか?」と答えた。この場面では会場から一際大きな笑い声や拍手がおき、インターネットへの書き込みでも評判が良かった。
どうやら民主党について、「なんとかならんのかね~」と思っている人はかなりいるようだ。12月28日朝の情報番組「スーパーモーニング」(テレビ朝日系)でも、赤江珠緒キャスターがあきれ顔で27日の民主役員会の模様を紹介した。
三反園訓・テレ朝コメンテーターは、小沢氏が政倫審へ出る可能性が出てきたとの関係者の見方を伝えた。出席すれば少なくとも当面は離党勧告の話は立ち消えとなる。政倫審へ出る出ないの一連のドタバタ劇は、内閣改造もからみ「駆け引き」(三反園)にすぎないというわけだ。赤江キャスターは、そんな駆け引きをする間に民主党そのものへの信頼感が失墜し、「共倒れ」になるだけではないか、との疑問を呈した。
実際、12月28日午後には、小沢氏はあっさり政倫審への出席を表明した。
どうなる仙谷長官人事
次の焦点は内閣改造に移ってくる。小沢氏が追い込まれたから政倫審出席に応じたのなら、小沢氏周辺が求めている仙谷長官の交代は実現せず、菅首相は「脱小沢」路線を強化する方向に進みそうだ。しかし、両者で「手打ち」が水面下であったとすれば、小沢氏の出席と引き替えに仙谷長官は長官職を解かれる可能性がある。
もっとも、小沢氏が政倫審へ出席しても、「政治とカネ」の疑念がすべて払拭されるわけではない。野党は政倫審ではなく、偽証罪に問うこともできる証人喚問を求めている。
12月27日には、連立政権参加の打診を受けた「たちあがれ日本」が要請を拒否する会見を開いた。民主党はあっさりフラれた形だ。小沢氏の政倫審出席と内閣改造で一気に空気を変えることは出来るのだろうか。