会社更生手続き中の日本航空(JAL)は2010年12月28日の定例会見で、雇用契約を打ち切る整理解雇の対象者が170人になったと発表した。同社は12月27日まで希望退職を募集していたが、人員削減目標に達しなかった。一部組合は解雇無効を訴えて提訴する予定で、11年以降、法廷闘争が長引く可能性もある。
「断腸の思い。一日も早い再生を」
JALは10年12月8日、希望退職に応じない従業員を12月31日付けで整理解雇する方針を発表。202人に対して解雇を通知していた。同社がその後も希望退職を募ったところ、12月9日から27日にかけてパイロット約10人、客室乗務員(CA)約10人、休職者約10人が応募。その結果、パイロット約80人、CA約60人、休職者約30人を整理解雇することが決まった。
会見に臨んだ大西賢社長は、
「当社のために汗水流して働いた社員だということもあり、人員規模の適正化のためとはいえ、ご本人やご家族に対して申し訳ないという気持ちでいっぱい。まさに断腸(の思い)、身が引きちぎられるような思い」
と述べた上で、
「血のにじむような思いで一日も早い再生を目指したい」
と強調した。
格安路線へのシフト改めて否定
JALの整理解雇をめぐっては、整理解雇に反対して「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)が12月24日と25日にストライキを構えていたが、直前の12月23日に回避。11年1月中旬にも、解雇無効を訴えるための集団訴訟を起こす方針だ。副操縦士らでつくる「日本航空乗員組合」(JFU)も同様の方針。
大西社長は、法廷闘争の長期化の可能性については、
「十分想定できるが、今後どうなるかについては、現時点でお話できることはない」
と、具体的なコメントを避けた。前回11月30日の会見の際には、組合関係者がJAL本社前でビラ配りをしたり、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の記者が、会見でCCU側の主張に沿う形の質問をしたりするなどの活動が見られたが、今回の会見では空席が目立ち、予定時刻より15分も早く終了した。
また、スカイマーク(東京都大田区)やスターフライヤー(北九州市)が国際線の定期路線に参入を表明したことについては、
「大きな流れとしては、我々の主たるターゲットとしている部分とは重なりがうすい。マーケットを見ていくことは重要で、適宜それを見ていきたい」
として、更生計画への影響を否定。LCCなどの格安路線へのシフトを改めて否定した形だ。