漫画家に早くも「お達し」 都条例改正で出版社も混乱

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   東京都の青少年健全育成条例の改正案の成立で、出版社やマンガ家の間に混乱が起きている。少女漫画家の高藤Jrさんは2010 年12 月27日に「ツイッター(Twitter)」で、自分がマンガを描いている出版社から「お達し」があり「あたしの漫画、ほとんどもうコミックス化できない」と嘆いた。

「Hありの漫画を描くように言われてきたのに」

   高藤Jrさんは1999年にデビューし、「誰もあたしを好きにならない」「ちょこっとBUSS」などの作品がある。ブログのプロフィールには「1日400円で生活するちょいエロ少女漫画家」などと書かれている。そんな高藤Jrさんが27日に「ツイッター」で、都の条例改正案の成立を受け、出版社から「お達しがあった」と打ち明けた。高校生が恋愛する45ページ分のネームを仕上げていたのだが、書き直しになったという。その「お達し」の内容はというと、

「過激な性描写だけではなく、未成年やセーラー服の女性との性描写、学校、女子寮、公園、トイレ、教会、寺、神社での性行為ets」

などの禁止なのだという。こんなに禁止項目が多ければ高校生を主人公とする少女漫画家は成り立たないし、高藤Jrの漫画ではないと読者から言われてしまうだろうと嘆いた。

   そして、

「あたしの漫画、ほとんどもうコミックス化できない。。。必死でどん底から這い上がってやってきたのに(涙)どうしたらいいんだろう」
「デビューしてからH有りの漫画を描くように、今はHじゃなきゃ売れない!と言われてきて、それがあたしの漫画で(涙)」

とつぶやいた。

どこまで許されるか、編集者も作家も手探り

   10年12月15日に可決・成立した都の青少年健全育成条例改正では、強姦や児童への淫行表現が不健全な図書指定の対象になり、近親相姦も自主規制の対象となった。出版社はこれに対し「表現の自由を奪う」などとして猛反発。来年3月に東京都主催で開催される「東京国際アニメフェア」では集英社、角川書店など大手10社が不参加を表明。開催が危ぶまれる事態になっている。

   各出版社に問い合わせてみると、編集部やマンガ家の間で混乱が広がっていることが分かった。出版社側はマンガ誌や単行本発行の差し止めは避けたいし、マンガ家も「自分の作品が槍玉に挙げられるのはまっぴらだ」といっているという。

   大手総合出版社が発行する青年マンガ誌の編集部に話を聞くと、現在、マンガ家と担当編集者が個別に、条例に照らしてどんなマンガにしていくか話し合っている最中だという。

「自分達はアダルトマンガ誌ではありませんが、ストーリーの流れや、読者サービスでエロシーンが入ることがあり、これを抜いたら作品として成立しない場合もある。そして都の条例の中身は曖昧で、どこまで許されるのかわからない。編集者も作者も手探りというか、カンを頼りにどうすべきか悩んでいる最中です」

と編集部では話している。

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