放送を4日後に控えたNHK紅白歌合戦の入場券のオークション価格が高騰している。例年は10~15万円程度で取引されていたが、2010年は異常で、高いものだと30万円で取引されている。この背景には、「嵐」が司会に抜擢されたことや、「AKB人気」がありそうだ。
紅白の入場券が「プラチナチケット」なのは毎年のことだが、今年の入場券は特に貴重だ。NHKが12月2日の会長会見で明らかにしたところによると、10年の紅白観覧に対して寄せられた応募はがきの数は、前年比28%増の75万9480通。当選したのは1313組なので、倍率は実に578倍だ。
例年に比べ相場が急騰
だが、この当選はがきが、数年前から「ヤフー!オークション」等のネットオークションに出回り、問題化している。10年12月31日に行われる第61回紅白歌合戦についても、ヤフオクで「紅白歌合戦」と入力すると、少なくとも10点以上がヒット。ご丁寧に、当選はがきの写真まで掲載されている。
うたい文句として
「嵐・AKB48・他」
「観覧ハガキ1枚2名分☆嵐」
「2名入場可 嵐」
といったフレーズが並んでいる。
NHKが紅白観覧の募集を締め切ったのが11月1日で、司会者に嵐と松下奈緒さんを起用することが発表されたのは11月3日、出場歌手が発表されたのは、さらに3週間後の11月24日だ。はがきが当選者に発送されたのは12月上旬のことだ。
はがきの当選者は、司会に起用された嵐や、10年の流行語にも選ばれたAKB48のファンを当て込んで出品したことがうかがえる。現時点での「相場」は約20万円で、はがき1枚に対して、50件程度の入札が殺到している。数日前には、54件が入札され、何と46万8000円で落札されたケースもあった。例年は10~15万円で取引されることが多かったとされ、相場が急騰したことがうかがえる。
NHKでも、この問題は重要だと受け止めている様子で、公式ウェブサイトの「よくある質問集」でも、この問題を取り上げている。
「残念ながら法的に取り締れないのが現状です」
だが、その内容は、
「オークションなどでの売買については、サイトの主催者などに申し入れを行うなどの対応をとっていますが、売買については個人取引にあたるため、残念ながら法的に取り締れないのが現状です」
と、防止策は難しいことを認めている。さらに、具体的な対応策についても、
「こうした売買を防ぐために、入場整理券等に『売買禁止』『インターネットオークション等での転売禁止』等といった文言を記載して注意を促しています」
としている程度だ。
ただし、当選はがきには
「転売やネットオークションでの売買防止のため、お客様のお名前と住所を券面に印刷しています」
と但し書きがあるなど、決してNHKも手をこまぬいているという訳ではない。だが、出品者は、自分の名前の部分をシールなどで隠した上で当選はがきの写真を掲載するなど、イタチごっこが続いている。