人気は「新興国」向け、成長力にも期待
「グロソブ」は3兆円を割ったとはいえ、純資産残高のトップにいる。毎月決算型でこれを追う2番手につけているのが、「野村グローバル・ハイ・イールド債券投信(資産国通貨コース)」(野村アセットマネジメントが運用)。1兆923億円の残高は「グロソブ」との開きはあるが、この商品は10年4月に設定されたばかり。わずか8か月で1兆円を突破した「売れている」投信なのだ。
この商品のように、最近の売れ筋は高い分配金が狙える新興国や資源国向けの債券に投資するファンドや通貨選択型といわれるタイプ。たとえば、「三菱UFJ 新興国債券ファンド通貨選択シリーズ ブラジルレアルコース」(三菱UFJ投信)や「短期豪ドル債オープン」(大和住銀投信投資顧問)などがいまや目白押し。ファイナンシャルプランナーの松浦建二氏は「国内外のREIT(不動産投資信託)も配当利回りのよさから資金が流入しているはずです」という。投信市場は、投資家が選ぶのに迷うほどの乱戦模様にある。
ある投信会社の関係者は、「よく言えば、個人投資家の投資意欲が旺盛になったのでしょうが、投信1本あたりの保有期間が短くなってきていることを考えると、少しでも多くのリターンを得ようと短期売買を繰り返す傾向にあるようです」と指摘する。
「グロソブ」を売った資金で投資家が、こうした投信の短期売買で利益を得ている可能性もないわけではない。