約8000人が集まった異例の入団発表、野球部グアムV旅行に追っかけマダム…。早大・斎藤佑樹投手(22)の日本ハム入団が決まってから、本人が現れるたび「佑ちゃんフィーバー」に沸いている。しかし、来季の開幕戦からは、事情がまったく変わってくるというのだ。
「欠点がないのが欠点という印象で、逆に心配している」
ノムさん「よくならない気がする」
楽天名誉監督の野村克也さん(75)が、今度はフィーバー渦中の斎藤佑樹投手にこうボヤいてみせた。夕刊フジの2010年12月20日発売号によると、野村さんは、斎藤投手が野球技術的に出来上がっていて、これ以上よくならない気がするとして、プロ入りに首をひねったというのだ。
斎藤投手は、早実時代に甲子園で優勝し、早大入りして大学日本一で締めくくるなど、日の当たる道を歩んできた。そして、ドラフト会議では、4球団もの競合になり、日ハム入りも、契約金1億円に出来高払い5000万円、年俸1500万円という新人の最高条件で決まった。エースナンバー「18」の背番号も与えられ、まさに至れり尽くせりの待遇だ。
順風満帆な野球人生に見えるが、野村さんは、これからは苦節の日々を送る可能性があると不吉な予言をした形だ。さらに、甲子園優勝、そして大学日本一を経験した斎藤投手に、「アマチュア野球で運を使い果たしたんじゃないか?」と別の心配も口にした。
そして、同じ早大でも、西武からドラフト1位で指名された大石達也投手の方が見込みはあると指摘する。荒削りだが、伸びしろがあり、育てがいがあるとの理由からだ。
プロ野球に精通しているスポーツジャーナリストの菅谷齊さんも、斎藤投手はこのままでは通用しにくいという見解だ。
「プロ野球は、投げ方が個性的でないとダメなんです。斎藤投手のように素直に投げている感じではなく、バッターに怖さを感じさせなければなりません。斎藤投手は、背が小さいのでボールがよく見えますし、フォームがきれいなので、バッターもひるむことなく打ちやすいと思います」
「頑張って3イニング」の声も
これに対し、甲子園時代からライバルの楽天・田中将大投手は、背が高く、上から投げ下ろすフォームで威圧感があるという。西武入りする早大の大石投手も、体が大きく球が速い武器を持っていると菅谷さんはみる。
「神宮では、スピードガンで150キロが出たといいますが、球に力がないので、バットの芯に当たると遠くに飛ぶんです。斎藤投手は、球種もストレートとスライダーぐらいで、プロではもちません。フォークもあるようですが、もっと球種の多さを求められるでしょう。このままでは、頑張って3イニング、へたをすると2イニング止まりですね」
オープン戦は、バッターがどんな球なのか見極めている段階なので、いいピッチングをする可能性はある。しかし、その段階で投球ぶりが丸裸にされ、公式戦ではそうはいかなくなるという。
ただ、日ハム側からしてみれば、そんな斎藤投手を使っても、経済効果からみればおつりが来るほどだというのだ。
「観客動員やグッズ販売などを通じて、キャンプが終わるころまでには、投資分が回収できるでしょう。少なくとも、オープン戦で予告登板すれば観客席が満員になり、2試合あればペイすると思います」
実際、公式戦初登板で東京ドームの観客席が満員になれば、入場料収入だけで1億円ほどが入るとされ、これだけで斎藤投手の契約金をペイできる。
とすると、斎藤投手は客寄せパンダのまま野球人生を終えてしまうのか。
「球団側も、5年間は頑張ってくれればいいと、期待している部分はあると思います。そして、プロである程度実績を残せば、アマチュア野球の指導者としても活躍できるでしょう。いずれは、早実や早大の監督になるという選択肢があるかもしれませんね」