いくつもある「本人認証」の仕組み
じつは「パスワード認証」は現時点でも、一部のクレジットカード会社やネット加盟店で採用している。それが浸透しないのは、実際にこの認証システムを採用するネット加盟店の多くが尻込みしているからだ。
ネットショッピングの利用には、操作性や手続きの手軽さが欠かせない。安心して買い物ができるネット環境は必要だが、カード決済の入力作業に手間がかかると、ユーザーが買い物を途中でやめてしまったり、手控えたりすることにもなりかねない。システム導入にもコストがかかるとなれば、後ろ向きになるのもわからないではない。
さらに、ヤフーや楽天などのネット大手では独自のセキュリティ・システムを設けていて、独自にID・パスワードを発行したり、電子署名を使ったりと、その認証方法はまちまち。あるカード関係者は、「すでに対応しているところは、どこも自分たちが万全だと思っている。それを1本化することは容易ではない」と明かす。
日本クレジット協会も「今回公表したのは、あくまでガイドラインですから(導入に)強制力はありません。ただ、安全・安心なカード決済を提供する社会的な責任があり、根気よく話し合いをしていきたい」と話している。