地上波テレビ局「番組作る必然性ない」
購入に二の足を踏む理由として挙げられた「専用メガネ」は、改良の動きが出てきた。12月22日、東芝がメガネなしで3D映像を見られる液晶テレビを発売したのだ。ただしサイズは12型と20型と小型。3Dに期待される、「リビングで家族全員が迫力の映像を楽しむ」というわけにはいかないだろう。発売に際してツイッターでも、「12インチ12万円って、需要あるの?」「家庭用テレビとして普及させるには大画面化を実現しないとね」と、反応は今ひとつだった。
コンテンツ不足は解消されていない。BSなどでは3D専門チャンネルが開設されたが、地上波では積極的に3D番組を流すまでには至っていないのが現状だ。ディスプレイサーチのアナリストで、テレビ市場担当バイスプレジデントの鳥居寿一氏に聞くと、「世界全体でも3Dテレビの出荷台数は300万台程度で、当然国内はもっと少ない。地上波のテレビ局は、わざわざその『少数派』のために3D専用番組を制作する必然性は現時点で感じないでしょう」と話す。裸眼の3Dテレビも、大型画面や低価格化が実現するには「しばらく時間がかかるでしょう」と見る。
2010年1月に米ラスベガスで開かれたエレクトロニクス製品の国際見本市「CES」で3Dテレビが大評判となり、そのためメーカーが過剰なまでに期待をかけたこと、韓国メーカーが短期間で開発に乗り出し、国内メーカーが追従して「シェア獲得戦争」に巻き込まれてしまったこと、これが「3D元年」の実態だった模様だ。鳥居氏によると、価格的にも3Dテレビが本格普及するのは2012年以降で、その様子を見ながらテレビ局などもコンテンツの充実を図っていくという。ハードとソフトの両輪がそろうのは、かなり先のようだ。