黄海で中国漁船が韓国海洋警察の警備艇に衝突し、中国側乗組員に死者・行方不明者が出た事件で、中国側は記者会見で、韓国側に損害賠償を求めることを明らかにした。これに対して、韓国マスコミは「逆切れ」などと反発。一方、中国のポータルサイトでは、韓国批判が高まりつつある。
韓国側の発表によると、2010年12月18日、韓国の経済的排他水域(EEZ)内で違法操業していた中国漁船団を韓国の海洋警察が追跡し、漁船団の後方にいた木造漁船に接近。漁船の乗組員が鉄パイプやシャベルを振り回して抵抗し、海洋警察官4人が骨折するなどして負傷した。
中国側の損害に対して賠償を求める
さらに、別の中国の木造漁船が、警備艇の進路を妨害しようとして警備艇の船首に衝突。漁船はこの勢いで沈没し、漁船の乗組員10人が船に転落。中韓双方が救助活動を行ったが、1人が死亡、1人が行方不明になっている。
韓国側は、死者が出たことに対して遺憾の意を表明したものの、中国側は反発した。中国外務省の姜瑜副報道局長は12月21日の定例会見で、
「事件に対して重大な懸念を表明する。韓国側には、行方不明になっている乗員を全力で捜索し、加害者を処罰し、中国側の損害に対して賠償し、再発防止に向けた具体的な取り組みを行うように求めている」
と要求。
「中国漁船は、韓国の水域で、韓国海洋警察の警備艇にぶつかったのではないか」
という質問には、
「事件は『中韓漁業協定』に基づいた水域で発生した。両国の漁船は、この水域で操業することができる。両国は、それぞれに国の漁船を管理し、どちらかの国が、もうひとつの国に対して違法操業について通報する権利はあるが、相手方の船に対して法律を執行することはできない」
と、韓国側の対応に異を唱えた。
これに対して、韓国側メディアは、「中国逆切れ」(朝鮮日報)「無礼な中国」(中央日報)といっせいに批判。ニュース記事のコメント欄では、
「もっと軍事力を強化しないとだめだ」
「中華思想の国からすれば、周りの国は、みんな敵国だ」
などといった書き込みが目立つ。