外貨買い加速で「一種のバブル」起きる心配も
一方、「強い中国」にも注目が集まる。日本国内で人民元預金を取り扱っている金融機関はまだ少ないが、2010年10月から取り扱っているHSBCグループは、残高や件数は公表できないが、「予想を上回る状況にあることは確かです」と話している。1、2、3か月ものの定期預金を用意、金利は最高で年0.5%になる。
今後、経済が成長して通貨も強くなるところといえば、やはり新興国や資源国。中国・人民元や豪ドルなどの通貨が狙われるのは当然で、さらに資源不足や少子高齢化による日本の国力の低下が目に見えているとなれば、将来的に円売り、外貨シフトが加速することは予想される。
このまま外貨シフトが続けば、「市場を動かす可能性がある」と、経済評論家の小田切尚登氏は指摘する。
「日本の個人は巨大な金融資産を持っていますし、かつ外貨取引が好きなので、世界の市場を動かすほどの影響力をもっています。たとえば、ブラジルレアルのような通貨は日本人が本気で買いに行ったら瞬く間に買い尽くしてしまい、通貨の価値をさらに高騰させてしまうでしょう。そうなると、一種のバブルですね」
円売り、外貨買いの流れは、なかなか止まりそうにないようだ。