個人の外貨預金が増え続けている。日本銀行によると、国内銀行の2010年10月末時点の個人の外貨預金残高は4兆8855億円となり、2000年以降で最高を記録した。ドル円相場が円高に振れると、円換算での外貨預金の残高は目減りするが、その分を上回って増加している。
なかでも人気は、高金利を付けているオーストラリア(豪)ドルやニュージーランド(NZ)ドル。低金利の円預金を尻目に残高を増やしている。
低金利の「円」に嫌気
デフレ経済に景気の先行き不安もあって、日本の低金利が長期化している。ある銀行関係者は、「低金利に嫌気がさして、それだけで円を売って外貨を購入しようという投資家が増える傾向にある」と話す。
外貨預金では、たとえば三菱東京UFJ銀行の円定期預金は預入期間1年もので年0.030%。それが豪ドルだと、3.210%にもなる。NZドルでも年1.490%を付けている(いずれも、2010年12月20日時点)。豪ドルやNZドルは、他国と比べても相対的に金利が高めなので、金利収入を期待しての投資が増えているようだ。
豪ドル1年もの定期で年5%(税引き前)を「売り物」にする、インターンネット専業銀行の住信SBIネット銀行は、「豪ドルはかなり注目されていて、ここ最近は一番(残高が)積み上がっている」という。外貨預金残高全体では、通常の1.3倍も伸びている。
外貨預金の伸びが活発な背景には、為替手数料の引き下げ競争が激しくなっていることもある。前出の住信SBIネット銀行は12月20日から、為替手数料を引き下げた。米ドル預金で1ドルあたり、これまでの片道20銭から9銭にすることで、外貨預金の利用を呼び込む。メガバンクなどは片道1~3円程度もかかることもあり、同行は「ネット銀行ならではの最低水準」と胸を張る。
同行はFX取引もネットでできるため、外貨預金は将来のFX取引の「予備軍」としても期待している。