「帳尻合わせは限界だ」「財源手当はどうした」
各紙の社説を眺めると、法人税には、財源の裏付けが不十分な中での「首相決断」での減税決定だったことから、「責任ある決断だろうか」(15日・毎日)、「見切り発車で大丈夫か」(同・東京)、「皮算用では心もとない」(16日・朝日)など懐疑的。税制大綱全体についても17日の社説で、「帳尻合わせは限界だ」(朝日)、「もう継ぎはぎは限界だ」(毎日)、「財源手当はどうした」(東京)と、数字合わせをこぞって批判。消費税を含めた税制の将来像、全体像の議論の必要に言及し、特に読売は「消費税抜きで改革はできない」と、議論の本格化を促した。
専門家からも「控除見直しは子ども手当の財源を生み出すためという動機が不純」(石弘光・元政府税調会長=17日・朝日)、「理念がないままとりやすいところから取ることに終始」(井堀利宏東大教授=同・読売)などの酷評が目立ち、方向としては間違っていないとして「民主党政権だからこそ封印を解けた」と評価する森信茂樹中央大大学院教授も「国民は子ども手当や法人税減税の財源探しをしていた印象を受けるのではないか」(同・毎日)と苦言を呈している。
政府は11年度から社会保障制度と消費税を含めた税制抜本改革の議論を本格化させ、11年半ばに抜本改革案をまとめる方針だが、ねじれ国会で11年度改正の関連法案の成立の保証さえなく、民主党内の政争の激化で菅政権の基盤が一段と不安定化する中、「不人気の消費税増税に踏み込むのは無理では」(経済官庁幹部)との悲観論が早くもささやかれる。