小説大賞を受賞した水嶋ヒロさん(26)が一般応募というのはウソだったと、週刊ポストが報じている。本人側からポプラ社に売り込みがあった「出来レース」だというのだが、同社は、事実無根として、ポスト側に抗議している。
「八百長美談」「大人の事情」…
「水嶋ヒロ側が売り込み」と報じる
週刊ポストが2011年1月1日・7日合併号に出した記事には、こんな刺激的なフレーズがちりばめられている。
それによると、水嶋ヒロさんは、シンガーソングライター絢香さん(23)との勝手な入籍発表や所属事務所移籍の画策がとがめられて俳優業を干され、八方ふさがりとなった。そんな中で、受賞作「KAGEROU」の原型小説を書いていたこともあって、小説家への夢が次第に膨らんだ。
絢香さんの働きかけを通じて、ある広告代理店の営業マン(29)に相談したところ、この営業マンが知り合いの60代女性出版プロデューサーに話を通した。そして、プロデューサーは、以前同じ出版社にいたポプラ社の役員に売り込むことに成功。社内編集者13人による選考で否定的な意見が多かったものの、社内で発言力のある人物が強くプッシュして受賞が決まったのだという。
ヒロさんは、大賞賞金2000万円を辞退して話題になったが、ポストの記事ではそのシナリオはすでに決まっており、その代わり、ヒロさんに十数%、プロデューサーに数%の印税を支払う約束だったという。受賞作が決まってから、本にできるレベルにするため、12月15日発売を前に、複数の書き手が後半部分を中心に手直ししたとしている。
かなり具体性のある記事だが、ポプラ社は、同誌の取材に対し、ヒロさん側からの売り込みやプロデューサーへの印税支払いの事実を明確に否定している。
同社のサイト上でも20日、「一部週刊誌の報道について」とのお知らせを出し、記事における選考過程や印税支払いなどについての記述は事実と異なっており、著者らの名誉を損なう恐れがあるとして、発行元の小学館に厳重に抗議したことを明らかにした。
奄美への賞金寄付報じた週刊女性にも抗議と明かす
ポプラ社の宣伝広報課では、J-CASTニュースの取材にも答え、水嶋ヒロさん側からの売り込みを改めて否定。社内で否定的な意見が多かったこともなく、発言力のある人物のプッシュもないとした。
また、印税支払いについて、ヒロさんに規定額を支払い、その他の支払いは一切ないとしている。小説の手直しについては、「著者と編集者のあいだで、ブラッシュアップの作業を行いました」とだけ言っている。
これに対し、小学館の週刊ポスト編集部では、「ポプラ社から現時点で『抗議書』は届いておりません。また、小誌1月1日・7日合併号の記事につきましては、関係者に十全な取材を尽くしており、記事の内容には自信を持っております」とコメントしている。
受賞を巡っては、週刊女性が2011年1月1日号で、ヒロさんが豪雨被害に遭った奄美大島に賞金から500万円を寄付したと報じているが、この記事についても、ポプラ社宣伝広報課が、J-CASTニュースの取材に対し、同誌側に抗議したことを明らかにした。
記事では、同社の坂井宏先社長が寄付の発言をしたと一部スポーツ紙が報じたことが、後に本の現物支給に訂正して発表されたとし、支給が「ありがた迷惑」だとする一部島民の声を伝えている。
J-CASTニュースの取材に、ポプラ社は、週刊女性が「事実と異なる報道をした」としているが、それが何についてなのかはまだ明らかにしていない。
なお、ポプラ社は、10年11月1日の受賞会見でマスコミに配布したお知らせ文で、辞退のあった賞金の使い道は同社に任されたとして、各地の図書館への本の寄贈などに賞金を使うことを明らかにしている。同社宣伝広報課では、取材に対し、ヒロさんから奄美大島への寄贈の希望があったり、同社でその希望を聞いたりしたことはないと答えており、記事がヒロさんの意向による寄贈と読めることに抗議した可能性はある。