人気絶頂のアイドルグループ「AKB48」。握手会のイベントを開くと毎回2万人ものファンが殺到するという過熱ぶりだが、中にはファンから無視されるメンバーもいる。握手するためにスタンバっていてもファンから「スルーされる」というのだ。それで、楽屋に泣きながら帰る人もいる。
「AKB48」は2010年、シングルCD「Beginner」でミリオンヒットを飛ばし、オリコンが集計した年間シングルCDトップ10で1位、2位を独占したほか4曲がトップテンに入った。ファンの中には一人で何十枚もの同じシングルCDを購入したりするが、それはCDに付けられた「握手券」が目当てというケースが多い。
「異常なまでスルーされたよ。目から湧き水」
今ネットで話題になっているのが「AKB48」メンバーの仲谷明香さん(19)、岩佐美咲さん(15)のブログ。2010年12月11日に東京「味の素スタジアム」で握手会イベントが開催され、2人が会場入りした時のことが綴られている。
岩佐さんは携帯用ブログ「スーパー美咲タイム」で、こう綴った。
「美咲とも握手してくれたら嬉しいです。かな~り悔しいです」
「美咲のこと見えていないんだろうか!?異常なまでスルーされたよ。目から湧き水」
仲谷さんは「握手会は楽しかった」としたあとで、
「さらーっと通り過ぎた方、今度は仲谷とも握手して下さい!!(笑)」
と書いた。
この日の「味の素スタジアム」にはファンが1万8000人集まり、28人のメンバーが対応。メンバーは2人一組になっていて、「握手券」1枚で14組の中から1組を選んで2人と握手が出来る。CDを大量に買ったファンはたくさんの「握手券」をゲットして何組とも握手が出来る、という仕組みだ。しかし、先のブログの2人は誰と組んだかわからないが、ファンは相方のメンバーだけと握手をして帰ってしまった、ということらしい。
ずっと一人で立っている「大家志津香の苦悩」
なぜこんなことが起きてしまうかというと。「AKB48」のファンは目当てのメンバーをピンポイントで狙い握手をする場合が多い。そのためほかのメンバーはスルーすることがよく起こるという。握手会は人気のバロメーターになっていて、ファンが集まらなかったメンバーは正規メンバーから外される、ということもある。
テレビ東京系で2010年11月5日に放送された「週刊AKB」では特別番組「大家志津香の苦悩」が放送された。大家さん(19)は07年5月に「AKB48」のオーディションに合格し研究生になり10年7月に正式メンバーに昇格した。番組では10年9月5日に「幕張メッセ」で行われた握手会の模様を流したが、大家さんは握手会の途中で泣き出し、バックステージに消えていった。理由はファンが握手を求めに来なかったからだ。
この日、人気のあるメンバーは午前9時から19時30分まで通して握手をしているが、大家さんの出番は1時間半と短かった。なぜ泣いたのか?
「握手で並んでくれるファンの人の数が凄く少なくて、同じ人がずっと来てくださっていて、そのファンの方も、やばいよ、やばいよって・・・」
番組では大家さんがずっと一人で立っている映像が流された。たまに握手を求められるのだが、それは同じ人。「列が少ないのは僕達もショックだから」と何度も並んでくれたのだという。
「ファンの数が少ないのは自分の実力不足ですが、自分だけじゃなくて、ファンが少ないことで、傷つく必要のないファンまで傷つけることになってしまった」
番組では最後に、東京・渋谷駅前に立っている姿を写した。大きな垂れ幕のようなものを持っていて、自分の名前と自己紹介を書いていた。これを持って街を歩き、少しでも自分の存在を知ってもらい、握手してもらえるように頑張りたい、というものだった。「国民的アイドル」といわれるまでになった「AKB48」だが、正規メンバーという栄光を手にしても、現実は厳しいようだ。