ずっと一人で立っている「大家志津香の苦悩」
なぜこんなことが起きてしまうかというと。「AKB48」のファンは目当てのメンバーをピンポイントで狙い握手をする場合が多い。そのためほかのメンバーはスルーすることがよく起こるという。握手会は人気のバロメーターになっていて、ファンが集まらなかったメンバーは正規メンバーから外される、ということもある。
テレビ東京系で2010年11月5日に放送された「週刊AKB」では特別番組「大家志津香の苦悩」が放送された。大家さん(19)は07年5月に「AKB48」のオーディションに合格し研究生になり10年7月に正式メンバーに昇格した。番組では10年9月5日に「幕張メッセ」で行われた握手会の模様を流したが、大家さんは握手会の途中で泣き出し、バックステージに消えていった。理由はファンが握手を求めに来なかったからだ。
この日、人気のあるメンバーは午前9時から19時30分まで通して握手をしているが、大家さんの出番は1時間半と短かった。なぜ泣いたのか?
「握手で並んでくれるファンの人の数が凄く少なくて、同じ人がずっと来てくださっていて、そのファンの方も、やばいよ、やばいよって・・・」
番組では大家さんがずっと一人で立っている映像が流された。たまに握手を求められるのだが、それは同じ人。「列が少ないのは僕達もショックだから」と何度も並んでくれたのだという。
「ファンの数が少ないのは自分の実力不足ですが、自分だけじゃなくて、ファンが少ないことで、傷つく必要のないファンまで傷つけることになってしまった」
番組では最後に、東京・渋谷駅前に立っている姿を写した。大きな垂れ幕のようなものを持っていて、自分の名前と自己紹介を書いていた。これを持って街を歩き、少しでも自分の存在を知ってもらい、握手してもらえるように頑張りたい、というものだった。「国民的アイドル」といわれるまでになった「AKB48」だが、正規メンバーという栄光を手にしても、現実は厳しいようだ。