野村系の私設株取引所  高速売買と低額手数料で取引急増

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   証券取引所を介さずに株式売買を行う私設取引所(RTS)を2010年7月に開設した野村系のチャイエックス・ジャパンが、売買高を順調に伸ばしている。同社によると、11月の売買代金は前月比5倍以上の502億円に急拡大。欧米のように公設取引所をおびやかす存在になるのか、注目される。

   PTSは、取引所を介さず、独自のシステム上で株式の売買注文を成立させるしくみ。以前は、株式売買は公設取引所で行わなければならない規制があったが、金融制度改革により、1998年にPTSが解禁された。国内では、マネックスやカブドットコムなど6社が運営している。

米国では公設取引所シェアが4割以下に低下

   チャイエックスは7月29日に参入した。東京証券取引所が導入した新取引システム「アローヘッド」を上回る高速の注文処理や、安い手数料がセールスポイントで、参入後、取り扱い銘柄を徐々に増やし、売買代金は9月の25億円から10月は96億円、11月は502億円と急拡大している。取引に参加する証券会社は、外資系を中心に11社に増え、着実に存在感を強めている。

   チャイエックスはすでに、高速売買と低額の手数料を武器に、欧州では一定のシェアを獲得。米国でもRTSの浸透ぶりはめざましく、公設取引所のシェアは4割以下に低下しているとされる。

   ただ、チャイエックス・ジャパンも急速に拡大しているとはいえ、11月の売買代金は東証の0.2%に過ぎない。証券関係者の間には「チャイエックスの顧客は、高速売買を行う海外機関投資家。保守的な国内生保や年金基金などが流れることはない」との見方が強い。

「いずれ東証のシェアを取りにくる」と警戒

   チャイエックス・ジャパンのジョセフ・マイヤー社長も、売買急増について「海外投資家らを呼び込み、日本市場の流動性供給に貢献したい」とコメント。表向きは、東証と競うのではなく、市場活性化により「共存共栄」を目指すとのスタンスだ。

   しかし、中国など成長著しいアジア各国の市場が投資家の注目を浴びる中、日本市場は停滞ぎみ。パイそのものを急拡大させるのは難しい状況で、東証内には、「いずれチャイエックスが当然、東証のシェアを取りにくる」(斎藤惇社長)との警戒感は根強い。

   チャイエックス・グローバルの親会社で米RTS大手のインスティネットを2007年に買収した野村ホールディングス(HD)の幹部は「売買高はあと一ケタ増やさなければならない」とさらなる拡大に意欲を燃やす。迎え撃つ東証も昼休みの短縮などを柱とする市場活性化策を公表したばかり。今後のシェア争いが注目されそうだ。

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